アイルランド反乱(読み)アイルランドはんらん(英語表記)Irish Rebellion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アイルランド反乱」の意味・わかりやすい解説

アイルランド反乱
アイルランドはんらん
Irish Rebellion

1798年,アイルランドの政治結社ユナイテッド・アイリッシュメンが先導したイギリス政府への反乱。1795年,長老派信者を中心とする過激派と不満をいだく労働者階級の一部が連携したことで,ユナイテッド・アイリッシュメンは活動を先鋭化させ戦闘的な秘密結社となっていった。1796年,フランスの大艦隊がアイルランドへ向けて出航し,国内の反乱と外国の侵略という脅威にさらされたイギリス政府は,反乱法を制定ヘビアス・コーパスを一時差し止めるなど,強圧的な態度を示した。1797年には,ジェラード・レーク大将が北部で個人所有の武器を差し押さえた。1798年初頭に緊張は極度に高まり,政府は過激派幹部数人を逮捕することに成功したが,5月には蜂起が始まった。ただ,反乱が広がったのはアルスター東部とウェクスフォード地方(→ウェクスフォード県)だけで,北部のアントリムやバリーナヒンチで反乱勢は敗北を喫した。ウェクスフォードの反乱勢はいくつかの会戦で政府軍を破ったが,ニューロスやアークロウの制圧に失敗。6月半ば,レーク率いる政府軍がウェクスフォードに集結し,同月 21日ビネガーヒルで反乱勢を打ち破った。反乱兵の多くは流刑植民地のオーストラリアへ送られた。この反乱がもたらした重要な結果合同法の制定である。イギリス首相ウィリアム・ピット(小)が推し進めたこの法律によってアイルランド議会は廃止され,アイルランドもイギリス議会議員を送ることになった。(→アイルランド合同

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