化学辞典 第2版 の解説
アデノシントリホスファターゼ
アデノシントリホスファターゼ
adenosine triphosphatase
EC 3.6.1.3.ATPアーゼともいう.アデノシン三リン酸(ATP)の末端のリン酸基を加水分解し,アデノシン二リン酸(ADP)と無機リン酸にする反応を触媒する酵素.
ATP + H2O → ADP + 無機リン酸
加水分解される結合は高エネルギーリン酸結合で,分解によって33.5 kJ mol-1 の自由エネルギーが減少する.筋収縮に関与するミオシンATPアーゼ,生体膜の能動輸送に関与する一価または二価金属イオン依存性ATPアーゼ,ミトコンドリアの内膜に存在するATPアーゼなどがある.ATPを加水分解することによって得られるエネルギーを筋収縮,能動輸送などの機械的・電気的エネルギーに変換するのに不可欠の酵素である.膜を介するイオンの能動輸送に関与するATPアーゼは脂質が活性発現に重要で,Na+-K+,Mg2+,Ca2+-ATPアーゼなど活性化に必要なイオンの種類,すなわち,輸送されるイオンの種類によって分類される.[CAS 9000-83-3]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報