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生体膜 せいたいまくbiomembrane

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

生体膜
せいたいまく
biomembrane

細胞構造を構成する各種の膜構造総称。生物ともいう。細胞そのものを囲む細胞膜原形質膜,形質膜)のほか,ミトコンドリア膜,小胞体膜,ゴルジ装置(ゴルジ体),リソソーム,植物では葉緑体など,細胞には多数の膜からなる構造がある。それらはごくおおまかには,いずれも蛋白質と脂質からなり,厚さ 6~10nmで,脂質二重層を基体とするなど共通性をもつが,膜の構成に参加する酵素その他の機能蛋白質の種類,物質透過特性,ホルモンに対する感受性その他では,細胞の種類,生物の種類ごとの差も大きい。細胞膜の食胞形成,物質分泌におけるゴルジ膜の分泌顆粒への変形など,動的な動きを行なう生体膜もある。なお横隔膜,腸間膜,脳膜など,動物体制に関して肉眼で識別され,膜といわれるものは,細胞そのものの並列,あるいは結合組織からなる膜であり,通常は生体膜に含めない。

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世界大百科事典 第2版の解説

せいたいまく【生体膜 biomembrane】

生体膜とは細胞を構成している膜構造のことであり,したがって目の角膜とか腹膜など多数の細胞の集まりからなる膜構造は生体膜とはいわない。細胞がある種の隔壁によって外界から仕切られ,さらに細胞内部に核やミトコンドリアなどの区画が存在することは,細胞の浸透圧的なふるまいなどから古くから知られていたが,この実体が明らかになったのは1940年以後のことである。生体膜の概念の真の確立は,電子顕微鏡の進歩によるところが大きい。

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大辞林 第三版の解説

せいたいまく【生体膜】

細胞と外界との境界を形づくる細胞膜をはじめ、細胞内の、核を包む核膜、小胞体・ミトコンドリア・葉緑体・ゴルジ体などを構成する膜の総称。厚さ7~10ナノメートルで、リン脂質分子の二重層の中にタンパク質分子がはめ込まれた構造を示す。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

生体膜
せいたいまく

細胞膜や、細胞内のミトコンドリア、小胞体、ゴルジ装置、核、リソゾームなどの膜をさす。これらの膜はそれぞれ外部と内部との境をなしており、ある物質を透過させる一方、別の物質を透過させにくい性質を有している。生体膜の組成は主としてタンパク質と脂質とからなる。細胞膜や核膜の脂質にはリン脂質のほかにコレステロールがかなり含まれるが、他の生体膜の脂質はほとんどリン脂質である。ヒトとハツカネズミの細胞のそれぞれのタンパク質を違った色素で標識して、ウイルスを使って両細胞を融合させると、やがて色素は混ざり合ってしまう。このことから、細胞膜のタンパク質は静止しているのでなく、動的であることが推測された。また、リン脂質のほうもかなり活発に運動していることが示されるに至り、1972年にシンガーS. J. SingerとニコルソンG. L. Nicolsonは、生体膜の流動モザイクモデルを提唱した。それによると、リン脂質は二重膜をつくり、タンパク質はその外側や内側、二重膜の内部あるいは内・外を貫いて存在しており、脂質も分子運動をしていて、タンパク質分子は脂質層を流動しているという。この説は現在広く受け入れられている。[菊山 栄]

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