アミノアントラキノン

化学辞典 第2版 「アミノアントラキノン」の解説

アミノアントラキノン
アミノアントラキノン
aminoanthraquinone

】1-aminoおよび2-aminoanthraquinone.C14H9NO2(223.23).モノアミノアントラキノンには1-および2-アミノアントラキノンの二つの異性体がある.1-アミノアントラキノンはアントラキノン-1-スルホン酸のアンモノリシス,あるいは1-クロロアントラキノンとp-トルエンスルホンアミドを加熱して生成した1-トシルアミノアントラキノンの加水分解によって得られる.赤色結晶.融点253 ℃.硫酸呈色は淡黄色で,エタノールベンゼン,酢酸,クロロホルムなどに熱時溶ける.建染め染料酸性染料分散染料などの中間体として重要である.2-アミノアントラキノンは,アントラキノン-2-スルホン酸または2-クロロアントラキノンから1-アミノアントラキノンと同様にして合成できる.橙色の結晶.融点302 ℃.濃硫酸呈色は淡黄色.建染め染料,とくにインダスレンブルーRSの原料として重要である.【】diaminoanthraquinone.C14H10N2O2(238.25).ジアミノアントラキノンには種々の異性体が存在するが,それらのうち,工業的に重要なのは1,4-および1,5-ジアミノアントラキノンである.前者は,ロイコキニザリンのアンモノリシスによって得られる.紫色の結晶.融点268 ℃.ベンゼン,ピリジンなどに熱時溶ける.そのまま分散染料となり,また酸性染料,建染め染料の中間体として用途が多い.後者は,アントラキノン-1,5-ジスルホン酸のアンモノリシスによってつくられる.赤い結晶.融点319 ℃.やはり上記各染料の中間体として使われる.その他,1,6-,2,6-ジアミノアントラキノンも染料中間体として重要であり,いずれも赤から赤褐色結晶で,相当するジスルホン酸をアンモニアアミノ化して合成する.[CAS 129-44-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアミノアントラキノンの言及

【アントラキノン】より

…実験室での合成には後者の方法がよい。その誘導体であるアミノアントラキノン,アントラキノンスルホン酸は,アントラキノン染料の重要な原料である。天然にはこの誘導体が色素として存在することが知られている。…

【アントラキノン染料】より

…化学構造としては,分散染料および酸性染料がアントラキノン単環なのに対し,建染染料は多環である。ポリエステル繊維を染める分散染料はアミノアントラキノン類が基本であるが,これにスルホン酸基が入ると羊毛を染める酸性染料となる。たとえば1,4‐ジアミノアントラキノンは紫色の分散染料だが,2位にスルホン酸基をもつものは同色の酸性染料である。…

※「アミノアントラキノン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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