アモン(Alfred Amonn)(読み)あもん(英語表記)Alfred Amonn

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

アモン(Alfred Amonn)
あもん
Alfred Amonn
(1883―1962)

オーストリアの経済学者。1907年ウィーン大学卒業。フライブルク、チェルノビッツ、グラーツプラハの諸大学で経済学を講じたのち、1926~1929年(大正15~昭和4)東京帝国大学経済学部で教壇に立ち、揺籃(ようらん)期における日本の近代経済学史上でも重要な役割を果たした。その後1953年までベルン大学教授。ウィーン学派から出発し、新カント派の認識論に立脚した理論経済学の方法論的研究面での功績が大きく、この面の著作に『Objekt und Grundbegriffe der theoretischen Nationalökonomie』(1 Aufl. 1911, 2 Aufl. 1927)〔山口忠夫訳『理論経済学の対象と基礎概念』(1937)は第2版の前半部を訳したもの〕がある。価格論では、ウィーン学派とカッセルとの接合を図り、やや通俗化された形にせよ一般均衡理論の普及に貢献した。学説史にも通じ、滞日中の作品に『正統学派経済学』(1929)、『限界効用学説史』(1932)などがある。第二次世界大戦後も『財政学原理』Grundsätze der Finanzwissenschaft2巻(1947、1953)をはじめ、多くの著作を発表した。

[早坂 忠]

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