アルギン酸繊維(読み)アルギンサンセンイ

化学辞典 第2版 「アルギン酸繊維」の解説

アルギン酸繊維
アルギンサンセンイ
alginic acid fiber

アルギン酸褐藻類(コンブカジメアラメなど)に含まれている多糖類で,ポリウロン酸の一種であるマンヌロン酸が長鎖状に結合した構造をもつ.アルカリ金属塩は水溶性であり,多価金属塩は不溶なので,たとえば,炭酸ナトリウム水溶液に溶解したものを,塩化カルシウム塩化亜鉛などの水溶液を凝固浴として紡糸する.延伸,仕上げ,乾燥して繊維とする.得られた繊維は耐水性が低く,せっけんやソーダ灰水溶液中で容易に溶解する.不溶化には硫酸アルミニウム処理,ジエポキシド処理,クロム酸処理などがある.難燃性で,伸度,強度ともに少ない.レース製造時に他繊維と混用し,のちに除去して,濃淡の模様を出したり,製織時の骨組糸としても用いられる.アルカリカルシウム繊維(アルギン酸カルシウムの繊維を水酸化ナトリウムのアルコール性水溶液で処理したもの)は外科用縫糸,ガーゼなどに用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルギン酸繊維」の意味・わかりやすい解説

アルギン酸繊維
アルギンさんせんい
alginate fibre

海藻類原料とし,水酸化ナトリウム,硫酸などで化学的に処理して得たアルギン酸を紡糸してつくる繊維。 1912年ドイツで発明された。耐水性が低く,水に濡れると弱くなるほか,希薄なアルカリ溶液につけると簡単に溶けるので,一般の衣料用には向かない。しかし,溶けやすい性質を活用して刺繍,レースなどに使われる。またカルシウムの一部をナトリウムで置換してつくったアルギン酸繊維は,溶ける性質を利用して,外科手術の糸,ガーゼなどに使われる。

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