刺繍(読み)ししゅう(英語表記)embroidery

翻訳|embroidery

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

刺繍
ししゅう
embroidery

手芸の一種。広くは糸,紐,リボンなどを,布および皮や編み地などの表面に,針を用いて刺したり留めたりして構成する造形,またはその作品。技法は,アプリケドロンワークカットワークのほか,ビーズや真珠,スパングルなどを留めつける方法もある。その起源は古代エジプトに始るといわれ,コプト美術において非常な発達をみせ,今日屍衣の断片として多く残されている。またローマ時代後期から,尼僧たちの手工芸として盛んに行われ,多くは聖書中の物語やキリスト教をテーマにした衣服や祭式用品,各種のおおい物の装飾が刺繍されていた。今日ではチェコ,スロバキアハンガリールーマニアなどの東欧諸国やスペイン,イタリア,スイス,デンマークアイルランドなどにおいて盛んである。東洋においては,中国周代にその技法があったといわれ,インド,中央アジア,日本などで古くから現在にいたるまで,ヨーロッパ風の刺繍とやや異なった技法の刺繍が発達している。日本では正倉院に唐代の手法を示すものが現存し,中宮寺の『天寿国繍帳』は有名である。日本刺繍,小裂刺 (こぎんざし) ,絽刺などがある。

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デジタル大辞泉の解説

し‐しゅう〔‐シウ〕【刺×繍】

[名](スル)種々の糸を用いて、布地の表面に絵や模様を縫い表すこと。縫い取り。「ハンカチにイニシャルを刺繍する」

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百科事典マイペディアの解説

刺繍【ししゅう】

ぬい,ぬいとりとも。古代世界では特にオリエントで発達し,ビザンティン帝国などに影響,祭儀用の式服や祭壇の垂幕にも施された。15―16世紀ごろには服飾としての刺繍が一般化し,靴,手袋にまで応用された。中国でも〈繍〉は古くから行われ,漢代にはほとんど鎖繍であったが,盛唐以降平繍が盛行し,金糸をまじえた華麗なものが作られた。繍仏の遺品も多い。日本では天寿国繍帳などの遺品があり,奈良時代には中国系の鎖繍が行われたが,次第に平繍が盛行。桃山〜江戸時代には優雅な模様と相まって高い工芸性を発揮した。現在は在来のものを日本刺繍,欧米のものをフランス刺繍と総称している。後者には技法上はアップリケドロン・ワークカットワーク,区限刺繍,スモッキングなど,材料上は白糸刺繍,色糸刺繍,リボン刺繍,ビーズ刺繍などがある。
→関連項目摺箔

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