イオノン(英語表記)ionone

改訂新版 世界大百科事典 「イオノン」の意味・わかりやすい解説

イオノン
ionone



ヨノンともいう。環状テルペンケトンの一種。その希薄溶液スミレ香気を有し,重要な合成香料の一つである。ふつうはα-体とβ-体の2異性体の混合物である。無色液体で,水にはほとんど溶けないがアルコールにはよく溶ける。沸点は,α-体123~124℃(11mmHg),β-体127~128.5℃(10mmHg)。シトラールアセトンとのクライゼン縮合で得られたプソイドイオノン閉環して合成される。両異性体の混合割合は,環化反応の際に使用される酸(ふつうはリン酸,硫酸など)の種類によって異なる。α-体とβ-体は精密分留により,またはそれらの酸性亜硫酸ナトリウム複塩の性質の差を利用するなどの手段で分離することができる。イオノンはあらゆるスミレ系調合香料の基礎剤として使われる。β-体はビタミンAの合成原料ともなる。
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化学辞典 第2版 「イオノン」の解説

イオノン
イオノン
ionone

C13H20O(192.30).各種異性体を含む総称であり,代表的なものとして,α-イオノンとβ-イオノンがある.混合物がミカン科Boronia megastigmaから単離されたが,通常,シトラールとアセトンの縮合などにより合成する.α-イオノンは沸点127 ℃(1.6 kPa).λmax 229 nm(ε 14300).β-イオノンは沸点134 ℃(1.6 kPa).λmax 294 nm(ε 87000).イロン代用として香料に用い,またβ-イオノンはビタミンAの合成原料に用いられる.

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百科事典マイペディア 「イオノン」の意味・わかりやすい解説

イオノン

化学式はC13H2(/0)O。環状テルペンケトンの一種。ヨノンとも。α‐,β‐などの構造異性体があり,ふつうは両者の混合物。ミカン科の植物の精油中に存在し,スミレの花香をもつ無色〜淡黄色の液体。重要な合成香料の一つで,シトラールとアセトンから工業的に合成される。スミレ系香料として用いられ,アルカリに強いためセッケン香料として賞用。β‐イオノンはビタミンAの合成原料ともなる。

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栄養・生化学辞典 「イオノン」の解説

イオノン

 →ヨノン

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