ビタミンA(読み)ビタミンエー

デジタル大辞泉 「ビタミンA」の意味・読み・例文・類語

ビタミン‐エー【ビタミンA】

脂溶性ビタミンの一。肝油・卵黄・バターなどに多く含まれ、植物中のカロテンも体内でこれに変化する。A1レチノール)・A2がある。欠乏すると発育不良・夜盲症や角膜・皮膚の乾燥などを起こす。

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精選版 日本国語大辞典 「ビタミンA」の意味・読み・例文・類語

ビタミン‐エー【ビタミンA】

  1. 〘 名詞 〙 脂溶性ビタミン一つ動物の肝油・卵黄・バターに多く含まれる。A1、A2などがあり、狭義にはA1(レチノール)をいう。A1は黄色柱状結晶。この欠乏症は、乾燥性眼疾(角膜乾燥症・角膜乾化症)と幼動物の成長停止、夜盲症など。

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化学辞典 第2版 「ビタミンA」の解説

ビタミンA
ビタミンエー
vitamin A

C20H30O(286.45).アクセロフトール(axerophthol),ビタミン A1,レチノール,A1 アルコールともいう.ビタミンAはretinolを意味し,ビタミン A2 発見以来,区別するためビタミン A1 とよぶ.次のようにオールトランス形の化学構造をもつ.

淡黄色の柱状結晶.融点62~64 ℃.λmax 325 nm(2-プロパノール)で吸光係数E1cm1%1830.多くの有機溶媒,油脂に可溶,水に不溶.ビタミンAのクロロホルム溶液はSbCl3によって深青色を呈し,その吸収極大は620 nm にあり,E1cm1%5070である.そのほかの呈色試薬としては2,3-ジクロロ-1-プロパノール(GDH)がある.空気酸化を受けやすく,熱や紫外線に対しても不安定である.魚肝油,ミルク,バター,卵黄,胚芽に存在し,肝油類の不けん化部分から得るか,または合成する.生体内では遊離アルコール型のほか,パルミチン酸ステアリン酸オレイン酸などのエステルとして存在することが認められている.ビタミンAの欠乏は夜盲症,皮膚の異常乾燥症,および角化亢進,骨変化,神経変性および成長発育の停止の病因となる.A1 アルデヒドは網膜桿(かん)状体の感光色素タンパク質であるロドプシンの構成成分である.橙黄色の結晶.融点61~62 ℃.SbCl3呈色の吸収極大は664 nm にある.ロドプシン中の A1 アルデヒドは Δ11-シス形であるが,光の刺激を受けるとオールトランス形に異性化され,同時にタンパク部分から解離する.A1 酸は視覚に対しては効果はないが,正常な発育と正常な皮膚を保つためには A1 アルコールと同様の効果を示す.淡黄色の針状結晶.融点180 ℃.SbCl3で赤紫色を呈し,吸収極大は573 nm にある.ビタミン A2淡水魚の肝油から発見され,次のような構造式をもつ.ビタミン A1吸収スペクトルは若干異なり(λmax 351 nm),生理活性はビタミン A1 の約40% である.ビタミン A1 と同様,それに対応するアルデヒド,酸,エステルなどがある.高等植物や原生生物などに広く存在する.カロテノイド(たとえば,β-カロテン)は,動物体内に摂取され小腸壁でビタミンA作用物質(A1,A2)に転換されるビタミンの前駆物質で,プロビタミンA(provitamin A)とよばれる.[CAS 68-26-8]

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食の医学館 「ビタミンA」の解説

びたみんえー【ビタミンA】

ビタミンAには2種類あり、動物性食品に含まれ、そのままビタミンAとして働くのがレチノール。一方、β(ベータ)―カロテンに代表されるカロテンは緑黄色野菜に多く含まれ、体内で変化してビタミンAになります。
 両者とも最終的な働きは同様ですが、レチノールはとりすぎると頭痛、発疹(ほっしん)、疲労感などの過剰症がでるので注意(上限は成人1日2700μg)。これに対して、カロテンは必要なだけビタミンAとなるので過剰症はなく、残りは抗酸化物質として働きます。なお、レチノール当量とは両者のビタミンAとしての効力をレチノールの量に換算した数値です。
 可食部100g中に含まれるビタミンAの多い食品として、以下のものがあります。鶏レバー1万4000μg、豚レバー1万3000μg、焼きノリ2万7000μg、シソ(葉)1万1000μg、ニンジン(根皮付き、生)8600μg(焼きノリ、シソ、ニンジンはβ-カロテン当量)。成人1日あたりの推奨量(レチノール当量)は男性800~900μg、女性650~700μgです。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビタミンA」の意味・わかりやすい解説

ビタミンA
ビタミンエー
vitamin A

脂溶性のビタミン。魚肝油中に脂肪酸のエステルの形で多く含まれ,工業的にも合成されている。カロテンは体内でビタミンAに変るのでプロビタミンAとも呼ばれる。Aの分子は5個の共役二重結合をもつため多数の立体異性体が可能であるが,天然に多いのは A1 で,黄色柱状晶,融点 63~64℃で最も安定な異性体である。ビタミンAが欠乏すると,発育停止,体重減少,感染に対する抵抗力低下,夜盲症,角膜乾燥症,角膜軟化症などが起る。いずれも,ビタミンAの投与で治癒する。一方,ビタミンAは脂溶性で,排泄に時間がかかるため,過剰に投与すると中毒を起す。急性中毒では頭蓋内圧亢進症状が,慢性中毒では四肢の疼痛性腫脹が現れる。

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「ビタミンA」の解説

ビタミンエー【ビタミンA】

脂溶性ビタミンのひとつ。レチノールと、動物体内においてビタミンAに変換されるプロビタミンA(α-カロテン・β-カロテン・クリプトキサンチンなど)の総称。レチノールは、鶏レバー、鶏卵(卵黄)、うなぎなど動物性食品に多く含まれ、プロビタミンAは、緑黄色野菜などのに多く含まれる。視覚を根幹で支え、皮膚・粘膜などの細胞分裂を促して正常に保つ機能をもつほか、抗酸化作用、活性酸素の弊害を抑制、血栓の防止、成長の促進などに効果があるとされる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

栄養・生化学辞典 「ビタミンA」の解説

ビタミンA

 C20H30O(mw286.46).

 レチノールはアクセロフトール,レチナールはアクセロフタールともいう.脂溶性ビタミンの一つ.レチノール,レチナールなど,数種類の化合物が活性を示す.視紅としての作用のほか,遺伝子の転写調節を行う重要な因子としての作用が認められている.欠乏すると,夜盲症,生殖障害,皮膚炎などの症状がでる.図はall-trans-レチノール.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビタミンA」の意味・わかりやすい解説

ビタミンA
びたみんえー

ビタミン

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世界大百科事典(旧版)内のビタミンAの言及

【カロチン】より

…空中酸素により容易に酸化される。カロチンは動物体内で酸化され2分子のビタミンAに変化し,さらにビタミンAアルデヒド(レチナールretinal)となり視覚の光受容に重要な機能をもっている。また補助色素として光合成に関与し,光の破壊作用からの保護機能などを有している。…

【ビタミン】より

… 現在,ビタミンは15種ほどが知られ,一般に脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに大別されている。前者にはビタミンA,D,E,Kなどがあり,脂肪に含まれる必須脂肪酸をビタミンFということもある。後者にはビタミンB1,B2,B6,B12,C,ニコチン酸,パントテン酸,ビオチン,葉酸などがある。…

【ロドプシン】より

…前者は強い光に反応して色覚をつかさどり,後者は弱い光のもとで明暗を識別するが,色覚には関係しない。ロドプシンは,細胞内のディスク膜の成分である分子量3万8000のオプシンopsinに,ビタミンAの誘導体11‐シス‐レチナールretinalが結合した複合タンパク質である。ビタミンAが欠乏するとロドプシンの合成が損なわれ夜盲症の原因となる。…

※「ビタミンA」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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