改訂新版 世界大百科事典 「イスケンデルン」の意味・わかりやすい解説
イスケンデルン
İskenderun
トルコ南部,シリア国境に近く,地中海の北東端に湾入する同名湾に面する港湾都市。ハタイ県の主要都市。人口15万8695(2003)。古代にアレクサンドロス大王によって建設されたといわれ,旧名アレクサンドレッタAlexandretta。イスラム時代にはアレッポと結ぶ港として重要であった。第1次大戦後フランスの委任統治下におかれたが,1939年トルコに返還された。第2次大戦後港湾設備の改良,近代化が進められ,現在ではイスタンブール,イズミル,メルシンに次ぐトルコ第4の重要港。NATOの東地中海最大の海空軍基地があり,トルコ海軍の重要な基地でもある。77年イラクのキルクーク油田から内陸のドルトヨルまでパイプラインが通じ,さらにイスケンデルンまで延長され,ヨーロッパ方面への原油積出港となっている。1976年にはイスケンデルン製鉄所がトルコで3番目の製鉄所としてソ連の技術・資金援助によって建設された。工業・軍事都市として近年ますます発展しつつある。
執筆者:長場 紘
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