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イスラム絵画 イスラムかいがIslamic painting

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

イスラム絵画
イスラムかいが
Islamic painting

イスラム教の偶像崇拝禁止による表現の制約のなかで,各地の固有の絵画伝統を吸収し発展させたイスラム世界独自の雰囲気をもつ一連の絵画。特にペルシア・ミニアチュール(→ミニアチュール)によって代表される。イスラム初期の絵画としては,ダマスカスの大モスクのモザイク装飾,アムラ城の壁画,アッバース朝サーマッラーのジャウサク宮殿やネイシャーブールの壁画などがあげられる。ミニアチュールは 12世紀頃のバグダードを中心とする写本挿絵(→装飾写本)の制作に始まり,モンゴル人の侵入以後,中国画の影響を受け発展した。チムール朝のヘラートは,ベヘザードなど優れた画家が輩出し,黄金時代を築いた(→チムール朝美術)。サファビー朝では,流麗な線による素描画に新しい様式が確立され,レザー・アッバーシーなどの画家が知られる(→サファビー朝美術)。ペルシア・ミニアチュールはインドに影響を与え,写実的な肖像画を特徴とするムガル・ミニアチュールを発展させ(→ムガル朝美術),またオスマン朝では,重く堅い感じの画風のミニアチュールが描かれた(→オスマン朝美術)。いずれも 18世紀以降,西洋絵画の影響を受けて独自性を失い衰退していった。

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世界大百科事典内のイスラム絵画の言及

【イスラム美術】より

…顔料には,赤土,黄土,辰砂,ラピスラズリなどから作られた鉱物性顔料が使用され,樹脂,亜麻仁油,蜜蠟,膠,アラビアゴムが媒剤として使われた。 形式を問わずイスラム絵画全般に共通している点は,画面構成,色彩構成ともに装飾的,平面的,形式的であり,遠近法,陰影法には関心が示されず,図像に関しては,個性的表現,感情表出などにほとんど注意が払われていないことである。ミニアチュールには,幻想的で現実味の薄い情景がしばしば展開されているが,それは絵師が,造形表現の理想を現実の世界よりも,むしろ,イスラムやその倫理的理想によって照らし出された彼岸に求めたからであろう。…

※「イスラム絵画」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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