アムラ城(読み)アムラじょう(英語表記)Quseir Amra

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アムラ城」の意味・わかりやすい解説

アムラ城
アムラじょう
Quseir Amra

ヨルダン中部,首都アンマンから東へ約 85kmの砂漠地帯に残るウマイヤ朝離宮。8世紀初頭,キャラバンサライ (隊商宿) の跡に建てられたものに増改築を重ねたもので,謁見の間や浴室などが備えられている。7世紀なかばにアラブ世界統一を果したウマイヤ朝の王カリフたちは,征服地での支配をより強固にするための移動宮廷として,さらには遊牧民であった祖先慣習をしのぶため,あるいは厳格なイスラム戒律からしばし逃避するためか,わざわざ砂漠のなかに宮殿を建設した。宮殿にはいくつもの浴室が設けられ,客を招いてはともに入浴し,戒律で禁じられていた酒もふるまわれたらしい。壁や天井一面を飾るフレスコ画は,十二宮の天体図をはじめ,人々の暮しや砂漠の動物などを色彩豊かに,いきいきと描き出している。 1985年世界遺産の文化遺産に登録。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android