インボリュート歯車(読み)インボリュートハグルマ

デジタル大辞泉 「インボリュート歯車」の意味・読み・例文・類語

インボリュート‐はぐるま【インボリュート歯車】

インボリュート歯形に用いた歯車曲線が単純で作りやすく、中心距離が多少増減してもかみ合いに影響がない。ごく一般的な歯形。

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精選版 日本国語大辞典 「インボリュート歯車」の意味・読み・例文・類語

インボリュート‐はぐるま【インボリュート歯車】

〘名〙 インボリュートを歯形とした歯車。サイクロイド歯車にくらべ、製作が容易で、回転運動にむらがないので、一般のほとんどの歯車に用いられる。

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百科事典マイペディア 「インボリュート歯車」の意味・わかりやすい解説

インボリュート歯車【インボリュートはぐるま】

インボリュート曲線で歯形を構成した歯車。歯の有効歯面が同一基礎円に由来するインボリュート曲線をとる。この歯車の対にあっては,取付中心距離に多少の誤差が生じても正しいかみ合いが保たれるなど実用上大きな利点をもつため,現在工業的に用いられる歯車のほとんどすべてを占める。インボリュート歯形は,ラックすなわち歯車の半径無限大の場合に直線歯形となる。したがって直線歯形のラックをつくり,これを工具ラックカッター)として歯車の軸方向に切削運動させながら横方向に移動させ,これとピッチ円周上での周速を合わせて円形母材を回転させるとインボリュート歯車ができる。このような加工法を創成歯切り法という。直線歯形のラックで創成できることがインボリュート歯形の特長で,高精度の歯車を製作できる。
→関連項目インボリュート歯車

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インボリュート歯車」の意味・わかりやすい解説

インボリュート歯車
インボリュートはぐるま
involute gear

歯車の軸に垂直な平面 (軸直角平面) における歯形がインボリュート (伸開線) である歯車の総称。この種の歯車では,歯車軸間の距離に誤差があっても,理論的に噛み合い,直線状のラックカッタで正しい歯形を容易に歯切りすることができる。また,切下げなどの欠点を転位や歯形修整によって解決できる。したがって,現在では歯車といえばインボリュート歯車をさすと考えてよい。これに対して,サイクロイド歯車は,切下げが生じないで,摩耗が一様で狂いが少いなどの利点はあるが,工作が困難であるなどインボリュート歯車には及ばないので,現在では計器用,時計用として残っているのみである。

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世界大百科事典(旧版)内のインボリュート歯車の言及

【歯車】より

…さらに産業革命の前後からしだいに学問的に扱われ,幾何学的解析も行われるようになり,なかでも,デンマークのO.レーメルやフランスの数学者カミュÉtienne Louis Camus(1699‐1768)らの歯形の研究は有名である。現在の歯車の主流である,歯形にインボリュート曲線を用いるインボリュート歯車の価値が広く認識されるようになったのは19世紀の半ばころからで,そして歯を切る方法としての創成歯切り法が実用化(1877ころ)されると,これにもっとも適したインボリュート歯車が,一般工業分野において不動の地位を占めるようになった。 歯車はこのような歴史的変遷を経て今日に至ってきたが,最近ではとくに歯車の負荷特性を高めるために,精度の高い歯車を作る技術,歯面(金属)の表面の強さを増大させるための窒化などをはじめとする特殊な表面処理,歯面損傷を防止するための歯車用潤滑油の開発が進んできている。…

※「インボリュート歯車」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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