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エステル記 エステルきBook of Esther

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

エステル記
エステルき
Book of Esther

旧約聖書中の歴史書の最後の書。ヘブライ語原典では第3部諸書の5巻 (メギロース) に属する。プリムの祭りの起源とその名前とに関して明らかにすると思われる伝説的な事件を扱っている。ユダヤ人の娘エステル女主人公とするロマンチックで愛国的な物語は,おそらく当時の歴史的背景に基づいていると思われるが,神の名は一度も使われず,ほとんど宗教的色彩はない。したがってヘブライ語正典の完成までは正典から除外されていたが,90年のヤムニアのラビ会議で受入れられた。内容的には,ユダヤの民族的憎悪と復讐の精神にみなぎっていながらも,その背後にはエステルを通じて選民を救う神の摂理が暗示されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

エステル記
えすてるき
The Book of Esther

旧約聖書』中の一書。紀元前2世紀の成立とされ、ユダヤ教の五大祭の一つであるプリム(くじ)の祭りの起源を説明する物語である。物語は、ペルシア王アハシュエロス(クセルクセス1世。在位前486~前465)の王妃に迎えられたユダヤ女性エステルとその養父モルデカイの活躍を描く。大臣ハマンが国内の全ユダヤ人の殺戮(さつりく)を計画し、くじによってその日を決める。ところがエステルの働きによって、アダルの月(太陽暦の3月ごろ)の13日、運命の日にハマンはモルデカイにかわって木につるされ、ユダヤ人に敵意を抱くペルシア人7万5000人が王命によって逆に処刑された。この物語はプリム祭にユダヤ教の会堂で朗読されたが、極端な民族主義的傾向と過酷な復讐譚(ふくしゅうたん)が文学的評価とは別に、宗教書としての本書の存在にさまざまな評価を与えている。[秋輝雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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