正典(読み)せいてん(英語表記)Canon

翻訳|canon

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

正典
せいてん
Canon

最広義の聖書諸書のうち,教会または教団が公認した書,厳密には聖書と同一である。最初から正典が確立していたわけではなく,歴史的に時を追って成立していったのであるから,ユダヤ教団,カトリック教会,ギリシア正教会,プロテスタント教会など,それぞれの教義と伝統によって正典の内容には多少のずれがある。旧約正典については,プロテスタント教会は元来ヘブライ語であった現在の旧約聖書 39の書を正典とする。ローマ・カトリック教会はウルガタ訳聖書の訳者ヒエロニムスの影響を受けてヘブライ語聖書のみを正典としていたが,トリエント公会議 (1546) 以後はセプトゥアギンタ (七十人訳聖書) として知られたギリシア語訳聖書に含まれるギリシア語原文の書をも含むウルガタ中の全書を正典として承認し,その結果,上記 39書以外のいわゆる旧約外典をも正典に含めることとなった。また新約聖書 27の書は 50~150年頃の間に書かれたが,全部が正典として承認されたのは 397年のカルタゴ会議においてであり,この決定にはヒエロニムスやアウグスチヌスが影響を与えた。正典結集の過程は旧約同様異説が多いが,その資料としては教父の書物エウセビオスの『教会史』,マルキオンの正典表などがあげられる。なお新約正典はトリエント公会議であらためて 27の全書が正典として決定された。

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知恵蔵の解説

正典

キャノン」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディアの解説

正典【せいてん】

(1)ある作家の真作として認められた作品。(2)文学史において偉大な作品とされ,後代に読み継がれていく作品。いわゆる〈世界の名作〉。近年の批評理論の展開の中で,正典はいかに形成されるか,ある作品が正典として認められ別の作品が排除される背景にはいかなる力学が存在しているか,作品が書かれ,読まれるということの背後にいかなる歴史的要因があるのか,といった問題が改めて問い直されている。→カノン

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大辞林 第三版の解説

せいてん【正典】

教団・教会によって公に認められ、信仰・教義・生活に規範を与える書物。カノン。

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世界大百科事典内の正典の言及

【聖書】より

…このように新約聖書の諸文書は,初期のキリスト教会においてさまざまに形成された伝承に基づいて,それぞれのイエス理解と福音の喜びとを人々に伝えようとする信仰の証言であった。
【聖書の正典化】
 〈正典(カノン)〉とは信仰,生活,教義に基準を与える権威が教団によって公認された特別の書物のことであり,その他の書物との区別がなされる。ユダヤ教およびキリスト教はこのような正典概念を形成し,また維持した。…

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