ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クセルクセス1世」の意味・わかりやすい解説
クセルクセス1世
クセルクセスいっせい
Xerxēs I
[没]前465. ペルセポリス
アケメネス朝ペルシアの王(在位前486~前465)。ダレイオス1世の子。キュロス2世以来の寛容政策を捨て,前484年ナイルデルタ(→ナイル川)を荒廃させてエジプトの反乱を鎮圧,バビロンの反乱も厳しく鎮圧した。次いでギリシア大遠征を企て,前484年から 3年がかりで準備を整え,カルタゴと結び,前480年陸海の大軍を率いてヘレスポントス(ダーダネルス海峡)に船橋をかけて渡った。その兵力は,古代ギリシアの歴史家ヘロドトスは 500万と記録しているが,今日では 36万ほどと推定されている。クセルクセスの軍はアトス半島に運河を掘ってギリシアに侵入,アルテミシオンの戦い,テルモピュレの陸戦に勝ち,アッチカを掠奪した。しかしアテネのテミストクレスが率いるギリシア海軍にサラミス湾で敗れ,海からの補給路を断たれて帰国した(→サラミスの海戦)。前479年,プラタイアイの戦いとミュカレで軍が撃滅され,遠征は失敗に終わった。その後は後宮に退き,ペルセポリスの「万国の門」をはじめ数々の大規模な建築事業を興して国の財政をますます逼迫させた。宮廷の腐敗,陰謀と相まって国力はしだいに衰え,前465年みずからも陰謀の犠牲となった。(→ペルシア戦争)
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