放線菌から放出される化学物質で、感染症を媒介する線虫など寄生虫の活動を抑制するように作用するマクロライド系抗生物質。アベルメクチンともいう。大村智(おおむらさとし)により1979年(昭和54)に静岡県のゴルフ場の土壌の中から発見され、その後、アメリカの製薬会社によって「イベルメクチン」として製品化され、家畜やイヌなどの寄生虫駆除薬として用いられた。その後ヒトにも効果があることが確認され、オンコセルカ症やリンパ系フィラリア症(象皮病)など、寄生虫による感染症の特効薬として世界的に使われるようになった。一般には疥癬(かいせん)の特効薬としても知られる。大村はこの功績により2015年(平成27)にノーベル医学生理学賞を受賞した。
[編集部 2016年5月19日]