デジタル大辞泉
「疥癬」の意味・読み・例文・類語
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かい‐せん【疥癬】
- 〘 名詞 〙 伝染性皮膚病の一つ。指の間、手足の関節の内側、大腿部の内側、乳房の下、下腹部、陰部などにできる淡紅色、または肌色の小さな丘疥(きゅうかい)。先端に小さな水疱や膿をもつこともある。夜間、激しいかゆみがあり、不眠の原因となる。ヒゼンダニの寄生によっておこる。皮癬(ひぜん)。疥瘡。
- [初出の実例]「凡厥蠧害。非二唯疥癬一」(出典:本朝文粋(1060頃)二・意見十二箇条〈三善清行〉)
- [その他の文献]〔国語‐呉語〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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疥癬 (かいせん)
scabies
ヒゼンダニSarcoptes scabieiの感染により発症する皮膚病。〈皮癬〉ともいい,古くギリシア・ローマ時代から知られていた。日本では戦後1945-46年ごろに大流行したが,以後激減したものの散発的に発生している。患者との性行為などによる直接接触感染(性行為感染症)のほか,寝具,衣類を介しても感染するため家族内,グループ,病院内での感染も少なくない。虫体は0.2~0.4mmで,雌の成虫が受精すると表皮の角質層内に疥癬トンネルを作り,その盲端に産卵する。孵化(ふか)すると3回脱皮して,10~14日で成虫になり体表に出る。症状としては,指間,四肢屈側,腋窩(えきか),臍部(さいぶ),外陰部など皮膚の柔らかい部分に小水疱,膿疱を混じたアワ粒大の紅色の丘疹が播種状に密にみられ,とくに指間では疥癬トンネルが数mmの細い線条として発見される。陰部ではダイズ大までの扁平に隆起する硬い小結節も作ることが多い。かゆみは著しく,とくに夜間に激烈なことが多い。治療は,寝具,衣類の熱湯消毒,日光消毒を行って他への感染を防ぐとともに,皮疹には硫黄浴,クロタミトン含有軟膏,安息香酸ベンジル液,γ-BHC含有剤の塗布が有効である。
執筆者:原田 敬之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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疥癬
かいせん
疥癬虫(ヒゼンダニ)が人の皮膚に寄生するために発生する皮膚疾患で、俗に「ひぜん」とよばれている。患者との性交のほか、寝床を同じくすると感染するので、性感染症(準性病)に含められているが、家族内感染や宿舎内感染もある。栄養摂取や衛生状態の悪かった第二次世界大戦後非常に流行したが、その後まったく消滅した。しかし、海外旅行が急激に増えた1970年代になってふたたび流行が始まり、なお続いている。これは疥癬虫に特効的なDDTやBHCにかわるものがまだないことにもよる。古典的な症状としては、皮膚の柔らかい指間、四肢屈側、わきの下、乳房下、下腹部、外陰部の皮膚に数ミリメートルの長さの細い線状の高まり(疥癬トンネル)ができ、その中で0.4ミリメートル前後の雌の疥癬虫が産卵する。しかし近年流行している疥癬の症例では、疥癬トンネルが認められるものが少なく、大半は虫刺されや湿疹(しっしん)に似た赤い隆起が体幹を中心とした前述の各部位に多発する。強いかゆみのために夜間の不眠をきたすことも多い。まれに全身状態のよくない場合には、角質がカキ殻状に厚く増殖するノルウェー疥癬がみられるが、この角層内には多数の虫体と虫卵が含まれている。治療には、クロタミトン軟膏(なんこう)、安息香酸ベンジル、硫黄(いおう)軟膏などが使われる。
[岡本昭二]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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かいせんひぜん【疥癬(ひぜん) Scabies】
[どんな病気か]
疥癬虫(かいせんちゅう)(ヒゼンダニ)という0.4mmぐらいの小さなダニが皮膚に寄生する病気で、直接人から人へ、あるいは寝具を介して感染します。
腹部、大腿部(だいたいぶ)、わきの下などに散発する赤い丘疹(きゅうしん)、指や手に多発する小水疱(しょうすいほう)や小膿疱(のうほう)と線状の皮疹(ひしん)(疥癬(かいせん)トンネルといいます)、陰部の小結節(しょうけっせつ)などの症状が特徴です。激しいかゆみがあり、夜間とくにかゆみが増します。かき傷から細菌が入って化膿(かのう)したり、湿疹(しっしん)になることがあります。
[治療]
皮疹(ひしん)のあるところだけでなく、全身に、毎日入浴してから角質剥離(かくしつはくり)作用と殺ダニ作用のある硫黄軟膏(いおうなんこう)、殺ダニ作用のあるクロタミトンや安息香酸(あんそくこうさん)ベンジルなどを塗布(とふ)しますが、家族内感染をおこすので、家族全員が治療を受けることが必要です。
寝具はよく日光に当て、肌着は毎日とり替えます。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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疥癬
かいせん
scabies
ひぜんともいう。ヒト疥癬虫 (ヒゼンダニ ) の感染による。躯幹 (特に下腹部,外陰部) や四肢 (特に手指,指間) に左右対称に赤色小丘疹が多発し,ときに小水疱化し,また膿疱化する。皮疹に一致して疥癬トンネルがあり,中に虫体,虫卵,糞がある。虫体は夜間トンネルから出て活動し,このために激しいかゆみを生じる。主として接触により感染するが,衣類や寝具を介しても感染する。近年は性行為感染症 (STD) の一つとみなされている。このほか不潔生活者,栄養失調者,長期臥床者などの場合に,疥癬虫感染により手足に角化性病変が生じることがあり,これはノルウェー疥癬と呼ばれている。また,イヌやネコなどのペットと接触した際,動物疥癬虫に刺されて激しいかゆみを伴う小丘疹が生じることがあるが,動物疥癬虫が人体に寄生することはない。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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疥癬【かいせん】
皮癬(ひぜん)ともいう。カイセンチュウ(ヒゼンダニ)の表皮内寄生による皮膚病。アワ粒大の丘疹,水痘ができ,かゆみが激しい。かくことにより,ときに化膿(かのう)菌感染を合併する。手指の間,わきの下,乳房の下,陰部,踝(くるぶし)付近などに好発する。皮膚の直接接触によって感染し,家族内伝染,集団生活伝染が多く,戦時中などにはよくみられたが,今日ではまれ。予防は清潔が第一で,治療は主として硫黄剤やクロタミトン塗布(とふ)。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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普及版 字通
「疥癬」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の疥癬の言及
【痒み】より
…かゆくなる皮膚の病気には[皮膚瘙痒症]のほかに,以下のようなものがある。[疥癬](かいせん)も激しいかゆみをおこすが,このかゆみは夜とくに強くなって安眠を妨げる。皮膚に原因のあるかゆみは,その上皮層あるいはそれよりも深い真皮層外層部がおかされたときにみられる。…
※「疥癬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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