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エンネアデス Enneades

世界大百科事典 第2版の解説

エンネアデス【Enneades】

新プラトン主義の代表的哲学者プロティノスの論文集に付された題名。編纂は弟子ポルフュリオスの手になり,主題ごとに9論文(エンネアス)で1巻とし,全体を6巻にまとめて計54論文をおさめている。301年ころに成立。倫理学,自然学,霊魂論,英知論,存在論などにつきプロティノスの思想を知らせるほぼ唯一の書物である。その執筆状況や編纂については,ポルフュリオスの《プロティノス伝》が資料になる。原文はギリシア語であるが,4世紀にはラテン初訳がウィクトリヌスGaius Marius Victorinusの手でなされた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

エンネアデス
えんねあです
Enneades

古代ギリシアの哲学者プロティノスの主著。その死後、弟子ポルフィリオスは師の論稿を校訂し、これを大まかに内容分類し、9編ずつ六つのグループに分けて出版した。6巻各9章よりなる。『エンネアデス』という書名は「九篇(へん)集」の意味である。他の弟子が編纂(へんさん)した著作集もあったが、今日に残るのはポルフィリオスの版である。これらはすべて、彼が弟子たちとともにもった講筵(こうえん)(シュヌーシア。今日の「演習(セミナー)」にあたる)に由来するもので、本来、少数の弟子たちの間での回覧のためのものであった。執筆は50歳以後、死に至るまでであった。彼は目が悪かったため、読み返して手を加え、書き改めることをしなかったといわれる。その論じ方は、相手と議論しながら、問題を提出し、解決していくという方式で、相手を哲学の思索のうちに引き入れることを目的とした。第1集は主として倫理学と美学、第2集と第3集は自然学と宇宙論、第4集は心理学、第5集と第6集は形而上(けいじじょう)学、論理学、認識論の問題をそれぞれ主として取り扱っている。[加藤信朗]

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世界大百科事典内のエンネアデスの言及

【新プラトン主義】より

…プロティノスに至ってギリシア・ローマ文明とオリエント・エジプト文明が完全に一体化したといってよいだろう。彼の著作は死後,弟子のポルフュリオスによって《エンネアデス》,つまり各巻9編から成る6巻の書物として出版された。ポルフュリオスの弟子イアンブリコスは《エジプト人の密儀について》によって古代異教神学を集大成した。…

【プロティノス】より

…その後64~65歳になって重病にたおれたため,学校は解散し,彼はカンパニアに退いて孤独のうちに死をむかえた。 彼の主著《エンネアデス》は,死後弟子のポルフュリオスが編纂したものである。プロティノスのギリシア語文体および議論を展開する仕方は独特であり,すでに当時の学者さえも頭を悩ませていた。…

【ポルフュリオス】より

…初めアテナイでロンギノスの門に学び,後にローマで神秘主義的哲学者プロティノスの弟子となった。師の死後,その伝記を書くとともに遺稿をまとめて《エンネアデス》の編集を行った。独創的な思想家というより,新プラトン主義の祖述者であり,その深く豊かな学識は古代的学問の一つの典型となっている。…

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