改訂新版 世界大百科事典 「オカメコオロギ」の意味・わかりやすい解説
オカメコオロギ
直翅目コオロギ科オカメコオロギ属Loxoblemmusに属する昆虫の総称。このコオロギは,雄の顔面が切断されたように平たくなり,その面が下後方に傾いている特徴をもっている。顔面の輪郭はおよそまるく,これらの特異な特徴からオカメコオロギの名が出た。この仲間は日本から5種が知られ,そのうち4種がふつうに見られる。ふつう体長13mm内外であるが,ミツカドコオロギは15~19mm。成虫はいずれも8~11月に出現し,年1化性。ハラオカメコオロギL.sp.(種小名未定)は本州,四国,九州に分布し,草原や人家近くの原っぱや庭などにふつう。雄はリリリリ,リリリリというように発音する。タンボオカメコオロギL.aomoriensisは北海道と本州に分布し,水田付近や湿った草原に多い。雄の頭部が大きい。雄はリーリーリーリーというように発音する。モリオカメコオロギL.arietulusは本州以南,東南アジアにまで分布する。林の下や,やや深い草原にすみ,雄はリーリリリというように鳴く。ミツカドコオロギL.doenitziは,これらオカメコオロギと少し異なり,顔面の上方両端が突出して,頭頂も幅広く突出していて,三つの強い突出部をもつのでミツカドの名がある。本州,四国,九州に分布し,畑や草原にふつう。雄はジジジジと強く発音する。なお,これらの雌は,いずれもよく似ていて区別がむずかしい。
執筆者:山崎 柄根
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報