日本大百科全書(ニッポニカ) 「オランダ総督」の意味・わかりやすい解説
オランダ総督
おらんだそうとく
Stadhouder オランダ語
ネーデルラント連邦(オランダ)共和国(1588~1795)における官職名。州主権をもつ七つの州邦によって任命される。共和国の初代総督オラニエ公ウィレム1世に続いて、その息子マウリッツ、フレデリック・ヘンドリック、さらにヘンドリックの息子ウィレム2世と孫のウィレム3世は、ともに五つの州邦の総督を兼ねていた。他の2州(フリースラント、フローニンゲン)の総督はナッサウ伯家の者が任命された。総督はまた、共和国の最高意思決定機関である連邦議会によって任命される陸海軍の最高司令官であり、東西両インド会社の監督者でもあった。総督職は法律的には州および連邦議会に任命される一官職であったが、実際には連邦議会の力を抑えて権力を振るった時期があり、またオランダ随一の名門貴族として諸外国の王家と姻戚(いんせき)関係をもつオラニエ家の威信と結び付いていた。1747年ウィレム4世は全7州の総督となり、また総督職はオラニエ・ナッサウ家の世襲となった。同家は1815年成立したネーデルラント王国の王家となり、現在に至っている。
[栗原福也]