日本大百科全書(ニッポニカ) 「フリースラント」の意味・わかりやすい解説
フリースラント
ふりーすらんと
Friesland
オランダ北部の州。地名は「フリース人の国」を意味し、英語名はフリジアFrisia。アイセル湖北東岸の本土と、その沖合いの西フリジア諸島に属する4島からなる。総面積5741平方キロメートル、陸地面積3357平方キロメートル、人口63万0539(2001)。州都レーワルデン。州の大半は低湿地で、海岸部に肥沃(ひよく)な海成粘土、内陸の南東部にギースト(氷河性砂質土)が分布し、その間に海面より低い泥炭層や湖沼が横たわる。このうち粘土地および干拓された泥炭地は良質な放牧地となり、当地原産のフリジア種の乳牛による酪農が行われるが、砂質地は果樹園、森林に利用される。酪製品加工や羊毛、麻工業がある。
紀元前300年ごろ、ゲルマン系のフリース(フリジア)人が移住してきた。彼らはテルペンterpenとよばれる盛土集落を形成し、また商業民族として活躍した。8世紀にはフランク人に占領され、1524年には皇帝カール5世に征服された。1579年のユトレヒト同盟には参加したが、1747年までは独自の州総督を任命した。住民は大部分プロテスタントで、現在も独特の文化を維持しており、フリジア語の文学、新聞、放送がある。
[長谷川孝治]