行政権(読み)ぎょうせいけん

日本大百科全書(ニッポニカ)「行政権」の解説

行政権
ぎょうせいけん

一般行政が行う国家統治権権能立法権司法権に対して用いられる。行政とは何かについては、積極、控除説などがあって、一定しない。そのため行政権の内容についても、明確な定義をすることは困難であり、時と所によって異なるから相対的にしかとらえられない。しかし一般に、行政権とは、法律を執行し、外交事務を処理し、公務員を選任し、指揮監督し、そのほか国民生活の安定と向上とを実現するために、各種の施策を遂行する国家作用の全体をさすと考えてよいだろう。

 行政権は、明治憲法のもとでは天皇の手にあったが、日本国憲法のもとでは、行政権は内閣に属するものとされ、内閣はその行使にあたって、議会に対し責任を負うべきものとされている。実際には内閣のもとに諸種の行政機関(省・庁・委員会)が設置され、行政作用の大部分が内閣の責任のもとに、これらの機関によって執り行われている。なお、行政権は国家の統治権に源をもつ作用であるが、地方公共団体その他の公共団体に分与され(自治行政)、あるいは公共団体または私人に委任されることがある(委任行政)。

[池田政章]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「行政権」の解説

行政権
ぎょうせいけん

執行権ともいう。一般には,国家の統治権のなかから立法権司法権とを除外した権力とされる (消極説ないし控除説) 。歴史的にみれば,君主の手にゆだねられていた統治権 (三権) のうち立法権が議会に,司法権が裁判所に帰属することとなり,その残部として君主に与えられた権限が行政権 (執行権) とされた。こういった定義づけのほかに,法のもとに法の規制を受けながら,国家目的の積極的・具体的実現を目指して行われる形成的・継続的な国家活動を行政権とする説もある (積極説) 。いずれにしても,これらは国家作用という大枠から行政権を定義づけしている。なお,行政作用の特質に着目すれば,内閣とその統轄下にある行政期間の権限に属せしめられる作用を実質的意義での行政作用,行政の準立法作用・準司法作用も含めて行政機関が行うすべての作用を形式的意義での行政作用と呼ぶ場合がある。

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精選版 日本国語大辞典「行政権」の解説

ぎょうせい‐けん ギャウセイ‥【行政権】

〘名〙 国が、統治権に基づいて一般行政を行なう権能。立法権、司法権とならぶ三権の一つ。
※東京日日新聞‐明治七年(1874)二月二七日「民選議院は行政権をして横恣ならしめず」

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