オーディベルチ(読み)おーでぃべるち(英語表記)Jacques Audiberti

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オーディベルチ」の意味・わかりやすい解説

オーディベルチ
Audiberti, Jacques

[生]1899.3.25. アンチーブ
[没]1965.7.10. パリ
フランスの劇作家詩人,小説家。ジャーナリストを経て,シュルレアリスム運動に触発されて創作活動に入る。天性の詩人で,言語の内在的創造力を重視,彼の劇はいくつかの固定観念から出発して,錯乱したイメージと比喩に富んだ不合理な世界を描きながら,宇宙の根源に対して疑問を投げかけている。主著戯曲『コアット,コアット』 Quoat-Quoat (1946) ,『牛の女たち』 Les Femmes du bœuf (48) ,『小鷹』 La Hoberaute (58) ,詩集『人間の種属』 Race des hommes (37) ,『莫大な種子』 Des tonnes de semence (41) ,詩論『新しい源』 La Nouvelle Origine (42) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オーディベルチ」の意味・わかりやすい解説

オーディベルチ
おーでぃべるち
Jacques Audiberti
(1899―1965)

フランスの詩人、小説家、劇作家。南仏アンティーブに生まれ、1925年パリに出て新聞記者となる。29年処女詩集がマラルメ賞を受賞。38年には『アブラクサス』で小説家としてもデビューするが、劇作家としては46年にアンドレ・レバズによって演出された『コアト・コアト』が処女作である。翌年ジョルジュ・ビタリの演出による『悪は走る』が青年劇団コンクールで優勝し、劇作家としての地位を確立した。その後『黒い祭』(1948)、『体がむずむず』(1962)、『騎士独り』(1963)など幻想と風刺性に富む数々の戯曲を発表する一方、『グラピオン効果』(1959)など軽い喜劇タッチの大衆的要素を織り込んだ作品も書いた。その奔放な詩句の使い方と華麗な修辞によってことばの錬金術師とよばれた。

[利光哲夫]

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