オール読物(読み)オールよみもの

百科事典マイペディア 「オール読物」の意味・わかりやすい解説

オール読物【オールよみもの】

文芸雑誌文芸春秋発行。1930年7月に《文芸春秋》夏期臨時増刊として,菊池寛命名の《オール読物号》を発行。好評だったため,翌年4月から月刊誌として独立した。創刊時は読物中心の大衆誌であったが,1935年頃から純文学畑の新人作家にも執筆を求める。同年制定された直木賞受賞者に誌面を提供,後に受賞作が掲載されるようになる。いわゆる中間小説の舞台で,文学の大衆化に果たしてきた功績は大きい。話題作に野村胡堂銭形平次捕物控》,川口松太郎鶴八鶴次郎》,山本周五郎赤ひげ診療譚》など。
→関連項目赤川次郎西村京太郎藤沢周平

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のオール読物の言及

【雑誌】より

…ただし集英社はこれらの雑誌に主軸をおきながら,文芸誌《すばる》や文学全集,各種講座,文庫から単行本にいたる総合出版社として事業を展開している。 明治以来の文芸出版社だった新潮社がサラリーマン層を主読者とする《小説新潮》(1947)によって,文芸春秋社の《オール読物》(1930)にいどんだころから,〈中間小説〉と呼ばれる文芸形式が大部数の小説雑誌の特色となってきた。純文学と大衆小説とのあいだという意味でのこの新形式は,推理,ユーモア,SFなどのさまざまな展開をともないつつ,逆に純文学と大衆小説という区別をとりはらう原動力として働いた。…

※「オール読物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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