西村京太郎(読み)ニシムラキョウタロウ

デジタル大辞泉 「西村京太郎」の意味・読み・例文・類語

にしむら‐きょうたろう〔‐キヤウタラウ〕【西村京太郎】

[1930~2022]推理作家。東京の生まれ。本名、矢島喜八郎。「天使の傷痕きずあと」で江戸川乱歩賞受賞。「寝台特急殺人事件」で人気を集め、「終着駅殺人事件」など鉄道トリックに使った作品多数執筆。トラベルミステリーの第一人者となる。平成17年(2005)功績により日本ミステリー文学大賞受賞。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「西村京太郎」の意味・わかりやすい解説

西村京太郎
にしむらきょうたろう
(1930―2022)

推理作家。本名矢島喜八郎。東京生まれ。都立電機工業学校卒業後、各種の職業を転々としたあげく、1961年(昭和36)『黒の記憶』、1963年『歪(ゆが)んだ朝』(『オール読物推理小説新人賞)で推理小説界にデビュー。1965年『天使傷痕(きずあと)』で江戸川乱歩賞を受賞。身障者を題材にした『四つの終止符』(1964)、スパイ小説『D機関情報』(1966)、未来小説『おお21世紀』(1969。『21世紀のブルース』と改題)、ユーモア推理『名探偵なんか怖くない』(1971)、内外の名探偵をパロディー化した『名探偵が多すぎる』(1972)、アイヌ問題を扱った『殺人者はオーロラを見た』(1973)などを書いたあと、『寝台特急(ブルートレイン)殺人事件』(1978)、『終着駅ターミナル)殺人事件』(1980。日本推理作家協会賞)などを発表して、「トラベル・ミステリー」を開拓した。これらの作品では、十津川(とつがわ)、亀井という2人の刑事がコンビを組んで事件を解決するが、以後、この「十津川警部」シリーズで西村ベストセラー作家となる。十津川警部は、1973年刊の『赤い帆船』や『日本ダービー殺人事件』(1977)あたりから登場し(『赤い帆船』では警部補)、十津川警部が登場する作品は多数に及ぶ。2001年(平成13)には、神奈川県湯河原(ゆがわら)町に西村京太郎記念館がオープン、彼の500点以上の全著作と生原稿、鉄道ジオラマなどが展示されている。1997年に日本文芸家クラブ大賞・特別賞、2004年に日本ミステリー文学大賞、2019年に「十津川警部」シリーズで吉川英治文庫賞を受賞。

[厚木 淳]

『『西村京太郎長編推理選集』全15巻(1987・講談社)』『『浅草偏奇館の殺人』(1996・文芸春秋)』『『女流作家』(2000・朝日新聞社)』『『おれたちはブルースしか歌わない』(2002・講談社)』『『歪んだ朝』『21世紀のブルース』『赤い帆船』(角川文庫)』『『天使の傷痕』『四つの終止符』『D機関情報』『太陽と砂』『名探偵なんか怖くない』『名探偵が多すぎる』『名探偵も楽じゃない』『名探偵に乾杯』『殺人者はオーロラを見た』(講談社文庫)』『『日本ダービー殺人事件』(集英社文庫)』『『寝台特急(ブルートレイン)殺人事件』『終着駅(ターミナル)殺人事件』(光文社文庫)』『池田光雅著『拝啓 十津川迷警部殿』(1988・冬樹社)』『山村正夫著『推理文壇戦後史(4)ミステリーブームの軌跡をたどる』(1989・双葉社)』『十津川警部応援会著『十津川警部の真実』(1998・コスミックインターナショナル)』『郷原宏編『西村京太郎読本』(1998・ケイエスエス)』

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百科事典マイペディア 「西村京太郎」の意味・わかりやすい解説

西村京太郎【にしむらきょうたろう】

小説家。本名矢島喜八郎。東京生れ。都立電機工業高校卒。国家公務員(人事院)として勤務した後,トラック運転手,私立探偵など職を転々としながら推理小説を書く。1963年《歪んだ朝》でオール読物推理小説新人賞,1965年《天使の傷痕》で江戸川乱歩賞を受賞。大がかりな状況設定と切れ味鋭いトリックが持ち味。また〈トラベル・ミステリー〉ものに新境地を開いた。《終着駅殺人事件》(1980年)で推理作家協会賞受賞。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「西村京太郎」の解説

西村京太郎 にしむら-きょうたろう

1930- 昭和後期-平成時代の推理作家。
昭和5年9月6日生まれ。各種の職業につく。昭和40年「天使の傷痕」で江戸川乱歩賞。トラベル-ミステリー「寝台特急殺人事件」で人気作家となり,ベストセラーを量産する。56年「終着駅(ターミナル)殺人事件」で日本推理作家協会賞。17年日本ミステリー文学大賞。東京出身。都立電機工業卒。本名は矢島喜八郎。作品はほかに「十津川警部白浜へ飛ぶ」「女流作家」など。

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