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中間小説 ちゅうかんしょうせつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

中間小説
ちゅうかんしょうせつ

第2次世界大戦後,ジャーナリズムの発達,マスコミュニケーションの成立により,文学読者層が拡大したことに応じて現れた新しい小説形式。従来の純文学の芸術性を保ちながら大衆文学の娯楽性を兼備する小説という意味で,社会性の拡大を評価すれば市民文学の成熟とみることもできる。一方,戦後の混乱期に,芸術性を確立しえなかった文学の質的低下の現れとする見方もある。

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デジタル大辞泉の解説

ちゅうかん‐しょうせつ〔‐セウセツ〕【中間小説】

純文学大衆文学との中間に位置する小説。特に、第二次大戦後の風俗小説をさしていう。

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百科事典マイペディアの解説

中間小説【ちゅうかんしょうせつ】

文芸用語。純文学大衆文学の中間にある小説の意で,純文学作品の芸術性と,大衆文学の読物的娯楽性を合わせもとうとするものとされた。第2次大戦後から現代にいたる現象として,純文学派の作家が大衆的な読物の効果をねらって執筆したことによって,またそうでないにしても読物の面白さに対抗する純文学の理念が明らかでなくなったことによって,二つのジャンルの境界をあいまいにする作品が多くなった。
→関連項目尾崎士郎オール読物通俗小説

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大辞林 第三版の解説

ちゅうかんしょうせつ【中間小説】

〔純文学と大衆文学の中間に位置する小説、の意〕
世相や風俗に題材を取り、広い読者層を対象として書かれた小説。第二次大戦後盛んになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

中間小説
ちゅうかんしょうせつ

文芸用語。純文学と大衆文学との中間に位する小説の意味で、日本独自のもの。第二次世界大戦の敗戦以後、小説読者が増え、おもしろい読み物が要求されたので、いままでおもに純文学を書いていた作家が「高級な大衆小説」の筆をとるようになり、それにあわせて『小説新潮』『別冊文芸春秋』などの雑誌が出て、これらの小説の舞台となったため大いに栄えた。この傾向の作品を中間小説といい、久米正雄(くめまさお)、林房雄(ふさお)がこの名称を初めて用いたといわれている。石坂洋次郎、舟橋(ふなはし)聖一、丹羽(にわ)文雄、田村泰次郎(たいじろう)、井上友一郎(ともいちろう)らの作家が中間小説の筆をとり、とくに石坂の『石中先生行状記』(1948~50、続編1953~54)や舟橋の「夏子もの」(1952~61)などがその代表的作品とみられている。なお、中間小説という称呼はその後も引き続き用いられ、現在に至っている。[畑 実]

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世界大百科事典内の中間小説の言及

【雑誌】より

…ただし集英社はこれらの雑誌に主軸をおきながら,文芸誌《すばる》や文学全集,各種講座,文庫から単行本にいたる総合出版社として事業を展開している。 明治以来の文芸出版社だった新潮社がサラリーマン層を主読者とする《小説新潮》(1947)によって,文芸春秋社の《オール読物》(1930)にいどんだころから,〈中間小説〉と呼ばれる文芸形式が大部数の小説雑誌の特色となってきた。純文学と大衆小説とのあいだという意味でのこの新形式は,推理,ユーモア,SFなどのさまざまな展開をともないつつ,逆に純文学と大衆小説という区別をとりはらう原動力として働いた。…

【通俗小説】より

…文学史的には,日本では明治30年代に流行した家庭小説に始まり,大正中期に至り,新聞の発行部数が100万部をこえ,大衆雑誌や婦人雑誌が続発した状況を背景に,久米正雄菊池寛などの有力な作家が進出して多数の読者を確保して以来,通俗小説の隆盛を迎える。第2次大戦後,純文学と通俗小説の間という意味の中間小説が流行し,一方私(わたくし)小説の地盤沈下,他方では推理小説,SFの台頭などにより,現代の通俗小説の概念は多様化してきた。しかし現状ではテレビドラマや劇画に押され気味であり,そのなかで風俗小説,青春小説,サラリーマン物,セックス物,アクション物,サスペンス物などの傾向のものが流行している。…

※「中間小説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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