記録メディアとしての磁気テープと、テープの送出用・巻き取り用の二つのリール(巻き枠、ハブともいう)などを一つのケースに収めてカセット状にしたものをいう。カセットテープが出現するまでは、オープンリールとよばれる方式が使われていた。これは、磁気テープがむき出しのリールに収められ、使用にあたっては、送出用リールから手作業でテープを引き出し、磁気ヘッドを経由して巻き取り用リールに装着する形式のものであった。カセットテープの出現により、この煩わしいテープ装着作業が不要になり、カセットをテープレコーダーに挿入するだけで動作の準備が完了するという便利な方式になった。これによって、従来業務用が主であった磁気テープシステムが民生用として一気に普及した。カセットテープの利点として、小型で扱いやすく、テープの損傷や汚染が少ないことがあげられる。一方、欠点として、テープの手切り編集(テープを鋏(はさみ)で切断して、他のテープとつなぎ合わせたり不要部分を切り捨てたりする編集作業)が困難なことがあげられる。
広義には、カセット状のテープメディアすべてが含まれる。オーディオ用とビデオ用があり、またそれぞれにアナログ用とデジタル用がある。アナログオーディオ用のカセットテープには、コンパクトカセット、マイクロカセット、エルカセットなどが、またデジタルオーディオ用のカセットテープにはDAT(デジタルオーディオテープレコーダー)、DCC(デジタルコンパクトカセット)などが商品化された。アナログビデオ用のカセットテープには、VHSやベータマックス、8ミリビデオなどが、デジタルビデオ用にはD-VHSなどが商品化された。狭義には、コンパクトカセットのみをさす場合が多い。ディスク状媒体の出現によって、カセットテープは録音・録画用媒体における主力の座から退いた。しかし、オーディオ用、ビデオ用ともカセットテープが消滅したわけではなく、生産量は少ないながら製造と供給が続けられている。すなわち、オーディオ用では、コンパクトカセットが年配者など一部のユーザーの根強い支持や、開発途上国の需要に支えられて、デッキやテープの供給が続けられ、ビデオ用では、DVD・VHS一体型レコーダーデッキとテープの供給が続いている(いずれも2014年時点)。
[吉川昭吉郎]
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…書斎や居間がワークステーションとして情報ネットワーク化される段階では,とじられたページ群というかたちをとらないで,情報が編集センターから端末にディスプレーされるという状態も生まれている。 紙によらない雑誌として戦後の一時期にソノシートによる音声の雑誌がフランスや日本で続いていたことがあるし,もっと簡便な方法として,カセットテープにダビング(複写録音)したメッセージをレコード店で市販することが青年グループで行われていたこともある。近年では,CD‐ROMの形態による雑誌も一部でみられる。…
※「カセットテープ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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