フランスの啓蒙(けいもう)思想家ボルテールの哲学小説。1759年刊。原題は『カンディードまたは楽天主義』。純な心の持ち主カンディードは、師で、ライプニッツ流の最善説(予定調和説)の信奉者パングロス博士を信じているが、男爵の娘キュネゴンドへの恋心が災いし城から追われたのち、彼が世の中で遭遇したのは、戦争、大地震、異端審問所等々で、師の説をことごとく裏切るものばかりであった。キュネゴンド嬢に運よく一命を救われたカンディードは、2人で南米に渡るが、この地でも異端審問の追及が待ち構えていた。ついに、この世の黄金郷エル・ドラドにたどり着くが、無目的に人生を過ごすことのできない主人公は、ヨーロッパに戻り、そこで自らの畑を耕し幸福に暮らす老人を見て、「われわれの庭を耕さねばならない」と悟る。機知と皮肉を利かせた独特の文体で、空疎な形而上(けいじじょう)学を退け、実践的叡知(えいち)を説いた傑作である。
[市川慎一]
『吉村正一郎訳『カンディード』(岩波文庫)』
東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...
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