ガスプリンスキー(英語表記)Gasprinski, Ismail

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガスプリンスキー」の意味・わかりやすい解説

ガスプリンスキー
Gasprinski, Ismail

[生]1851. ロシア帝国, バフチサライ近郊アブジュ
[没]1914.9.11. バフチサライ
トルコのジャーナリスト,著述家。別名 Ismail Gaspirali。チュルク系民族(→チュルク語系諸族)の生まれでモスクワの軍事学校に学んだ。1871年にオーストリアウィーンへ旅行し,次いで訪れたパリでリベラル派のオスマン・トルコ難民と接触した。3年後クリミアへ帰郷し,1878年バフチサライ市長に任命。翌 1879年新聞の発行が認められなかったためロシア語紙『タブリダ』の記者となり,チュルク系が圧倒的に多いロシアのイスラム教徒が抱える文化的な問題について記事を書いた。1883年にロシア語とトルコ語の 2ヵ国語紙『テルジュマン』(翻訳者)の創刊を許可されると,ロシアに西洋思想を伝えるとともに汎イスラム・汎チュルクの団結を支える,最も影響力の強い新聞に育て上げた。『テルジュマン』に心血を注ぎ,中東地域とロシア各地のチュルク系地域をあまねく訪れた。またアラビア語の音声教育のほか,四則計算,歴史地理などの科目を含む教育課程改革を標榜したウスーリ・ジャディード(新方式)と呼ぶ新しい教育のあり方を積極的に支持した。全イスラム教徒の団結を唱道し,著述活動を通じてロシアのチュルク系市民の間に文化的アイデンティティをはぐくむことに大きく貢献した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android