改訂新版 世界大百科事典 「ガンダ族」の意味・わかりやすい解説
ガンダ族 (ガンダぞく)
Ganda
東アフリカの内陸,ウガンダ共和国のビクトリア湖北西岸の肥沃な地に住むバントゥー語系農耕民で,人口約150万。1966年に消滅したブガンダ王国の主体となった民族で,バナナ,豆類,サツマイモ,ラッカセイ,コーヒー,綿花などを栽培し,鉄器,土器,樹皮布,カヌーなどの工芸品製作に秀でていた。約50のトーテムをもつ父系クランが全土に分散し,各クランはサブ・クランやリネージに分節している。死者はクランの土地に埋葬する。村は散村形態で,村長が土地の割当てや税の徴収を行った。一夫多妻婚が行われ,花嫁代償としては樹皮布,ビール,ヤギなどが用いられた。宗教は祖霊祭祀のほかに,超人的な人物の霊を祀り,憑依(ひようい)儀礼が行われる。現在ではほとんどがキリスト教徒となっている。ガンダ族は19世紀後半にイギリスと友好関係をもち,西洋文化を積極的に取り入れ,教育水準が高く,国家的エリートを輩出したが,ブガンダ王国消滅以後は反政府勢力とみなされ,弾圧をうけている。
執筆者:長島 信弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報