キナーゼ

デジタル大辞泉 「キナーゼ」の意味・読み・例文・類語

キナーゼ(kinase)

《「カイネース」とも》ATPGTPなどのリン酸基を他の化合物に転移させる酵素総称。特に、プロテインキナーゼのこと。リン酸化酵素。→ホスファターゼ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「キナーゼ」の解説

キナーゼ
キナーゼ
kinase

転移酵素一種アデノシン三リン酸(ATP)からある物質ヘリン酸基を一つ転移する酵素の総称.たとえば,キナーゼの一種であるヘキソキナーゼは,次の反応を触媒する.

   ATP+D-ヘキソース → ADP+D-ヘキソース6-リン酸   

解糖のような代謝に重要な酵素の多くがこれに属する.二リン酸(ピロリン酸(塩))基を転移する場合はピロホスホキナーゼとよぶ.古くは酵素前駆物質を活性化する酵素,たとえばトロンボキナーゼ,エンテロキナーゼなどの総称に用いられたこともある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キナーゼ」の意味・わかりやすい解説

キナーゼ
kinase

基質にアデノシン三リン酸 ATPの末端リン酸を導入する反応を触媒する酵素を,キナーゼと総称する。ブドウ糖 (G) からブドウ糖-6-リン酸 (G6P) を生じるグルコキナーゼは代表例である (G+ATP→G6P+ADP) 。ピルビン酸キナーゼの場合には,生理的には逆反応が重要で,ホスホエノルピルビン酸+ADP→ピルビン酸+ATPの反応は,解糖系における ATP生成反応である。キナーゼという名には,基質にリン酸基を与えて代謝的に活発化させるという含みがある。上記のほか,各種酵素蛋白質をリン酸化して活性を調節するプロテイン・キナーゼや,高エネルギーリン酸結合の貯蔵分子であるクレアチンリン酸と ATPの間でリン酸を授受するクレアチン・キナーゼなど,重要な役割を演じる酵素も多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「キナーゼ」の解説

キナーゼ

 [EC2.7]群,ホスホトランスフェラーゼに属する.ホスホキナーゼともいう.リン酸基転移酵素同義.ATPもしくは他のヌクレオチド三リン酸を一つの基質として他の基質にリン酸基を転移する反応を触媒する酵素.一方の基質がタンパク質である場合もあり,それをプロテインキナーゼもしくはタンパク質キナーゼといい,多くは生体の信号伝達や反応の調節に関与する.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android