日本大百科全書(ニッポニカ) 「キプレンスキー」の意味・わかりやすい解説
キプレンスキー
きぷれんすきー
Орест Адамович Кипренский/Orest Adamovich Kiprenskiy
(1782―1836)
ロシアの画家。農奴の娘の私生児で、自由の身となってからサンクト・ペテルブルグの美術アカデミーに学ぶ。歴史画『クリコボ原頭のドミトリー・ドンスコイ』(1805年。ロシア美術館)で注目されたが、その後は主として肖像画の分野で活躍した。とくに『A・K・シュバリベの肖像』(1804)、『詩人V・A・ジュコフスキー』(1816)、『A・S・プーシキン』(1827)などは有名である。18世紀の肖像画と違って、キプレンスキーは対象の人間性を追究して、その人物の身分を表す装飾品などは省略することが多い。晩年はかつて学んだイタリアへ赴き『新聞を読む人々』(1831年。トレチャコフ美術館)など時事的なテーマも描いた。
[木村 浩]