クロサンショウウオ(読み)くろさんしょううお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロサンショウウオ」の意味・わかりやすい解説

クロサンショウウオ
くろさんしょううお / 黒山椒魚
[学] Hynobius nigrescens nigrescens

両生綱有尾目サンショウウオ科のサンショウウオ。東北、北陸地方および北関東の山地から低地にかけて広く分布する。背面黒褐色で、黄褐斑(はん)をもつ個体も多い。腹面は灰色。サンショウウオ科のなかでは大形の部類に属し、全長15センチメートルに達する。池などのやや深い止水で繁殖する。産卵は2、3月に始まり、山地では夏季に及ぶ。卵嚢(らんのう)の形状は特異で、アケビ形。ゼリーの内層は通常白濁し、卵はほとんどみえない。卵径約3ミリメートル。1対の卵嚢中の卵数は、低地で100個前後、1000メートル以上の高山では半減する。佐渡島のものは亜種サドサンショウウオH. n. sadoensisとして区別されている。

倉本 満]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロサンショウウオ」の意味・わかりやすい解説

クロサンショウウオ
Hynobius nigrescens

サンショウウオ目サンショウウオ科。体長 12~15cm。体色は暗褐色または黒褐色。頭部卵形で,眼が突き出る。尾は側扁し,鰭状である。四肢は長い。産卵期は2~7月で,沼などの止水に乳白色紡錘形をした1対の卵嚢を産みつける。1卵嚢中に卵は 30~40個含まれる。寒地性で山地の湿った場所にすむが,標高 2000m以上の高山にも生息する。本州中部から東北地方にかけて分布する。

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世界大百科事典(旧版)内のクロサンショウウオの言及

【カスミサンショウウオ】より

…日本にはそのほか13種の同属のサンショウウオが分布し,いずれも形態,生態ともに類似する。そのうちクロサンショウウオH.nigrescens(全長約15cm),ヒダサンショウウオH.kimurae(約15cm),トウホクサンショウウオH.lichenatus(約12cm)は山地性で,高地の池沼に産卵する。北海道にはエゾサンショウウオH.retardatusが分布し,全長14~19cmでやや大きい。…

※「クロサンショウウオ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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