改訂新版 世界大百科事典 「クワゴマダラヒトリ」の意味・わかりやすい解説
クワゴマダラヒトリ
Spilosoma imparilis
鱗翅目ヒトリガ科の昆虫で,幼虫はクワの害虫として知られているが,かなり多食性でバラ科,ブナ科,スイカズラ科植物の各種に寄生する。十分成長した幼虫は体長5cmに達する毛虫となる。若齢の間は葉に糸を吐いて丸めた巣で集団生活をし,葉脈を残して網目状に食害する。若齢幼虫で越冬する。翌春再び葉を食べ,老熟すると分散し,春の終りころに褐色の体毛を混ぜた粗い繭をつくって蛹化(ようか)。成虫は9月ころに羽化し,食樹の幹や枝に卵をかためて産みつけ雌の尾毛で覆う。雄は褐色を帯びた黒色で,黒紋を連ねるが,雌は雄よりはるかに大きく,翅は白色に近いクリーム色,前翅には雄と同じような黒紋が多数あるが,その色は薄い。雌雄とも灯火に飛来する。北海道から九州まで各地にごくふつうに見られる。
執筆者:井上 寛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報