改訂新版 世界大百科事典 「クワノメイガ」の意味・わかりやすい解説
クワノメイガ
Glyphodes duplicalis
鱗翅目メイガ科の昆虫で,幼虫がクワに寄生する害虫。俗にクワノスムシ(桑の巣虫)と呼ばれている。地方によって異なるが,年に4回くらい発生し,幼虫の状態で樹幹や落葉の間などで冬を越す。翌春蛹化(ようか)し,第1回目の成虫は晩春に羽化する。この成虫の子孫は新葉をつづり合わせたり,若葉を折り曲げてその中にすみ,葉の片側を食べるので葉は半透明となる。第2回目の成虫は夏の初めころに羽化し,その子孫は夏にクワの葉を食べる。多発すると桑園にかなりの被害が発生する。日本全国に分布し,成虫はよく灯火に飛来する。日本の南西部には本種とよく似たチビスカシノメイガG.pyloalisが分布していて,従来これら2種が混同されており,クワノメイガに対してこの学名が使われていた。チビスカシノメイガもクワノメイガと同じように,幼虫がクワに寄生するものと思われている。このほか両種に近縁なスカシノメイガG.pryeriもクワにつくガである。
執筆者:井上 寛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報