改訂新版 世界大百科事典 「ゲマトリア」の意味・わかりやすい解説
ゲマトリア
gematria
カバラにおける文字転換法の一つ。ヘブライ語のアルファベットはそれぞれの数値をもっており,その文字の組合せである単語または文章も一定の数値をもつことになる。数の象徴的意味を重視するカバラでは,同じ数をもつ単語または文章は置換えが可能であり,それによってさらに深い意味を発見できるという。例えば大天使メタトロンは314の数値をもち,シャダイ(全能の神)と同じ数をもつ。それゆえ両者は密接な関係があるとみなされ,〈生命の樹〉ではともに〈ケテル(王冠)〉に配当される。またノタリコンnotarikonとは単語や文章の最初の文字を取り出し,新しい言葉を作る方法である。例えば〈アーメンAMN〉は〈Adonai melekh namen(主にして信仰深き王)〉の省略形だという。もう一つの転換法はテムラtemurahである。アルファベットを真ん中で折り返すように並べ,対応する上下の文字を置き換えて新しい言葉を作る一種の暗号法である。
→カバラ
執筆者:大沼 忠弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報