コミュニティ・オーガニゼーション(読み)こみゅにてぃおーがにぜーしょん(英語表記)community organization

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

コミュニティ・オーガニゼーション
こみゅにてぃおーがにぜーしょん
community organization

地域社会の住民の福祉ニード要求)を充足させるために、地域の組織化を進める手続をさす。社会福祉事業の主要技術の一つ。発端は、地域内の各種慈善団体の不統一な活動から、要救済者のある者に慈善が重複し他は放置される結果を招いたので、その是正として、これら団体の連絡を図ったことにある。ついで住民のニード把握とそれに対する社会資源の調整に関心が向けられたが、これらの段階では一方的な慈善にとどまるか、または少なくとも対象住民は活動の主体には加えられなかったことになる。しかし、公私の関連諸機関や諸団体の協議を必要とする段階に入ってからは、住民代表もそれに参加するようになり、さらにその後には住民自体が活動の主体に置かれるようになっている。つまり、ニードや問題の発見、手段と目標の設定、必要資源の調達リーダーシップの開発、住民の組織化と実践行動などの過程は、すべて住民の側からおこるべきものであり、専門家の役割はこの過程の開始、育成、展開の側面的援助とみるようになったのである。また各国で社会運動が活発になった現在では、急進的要求運動を加えることも必要視されている。

 日本では社会福祉協議会がコミュニティ・オーガニゼーションの推進にあたっているが、最近は多く地方自治体がコミュニティ政策を重視する傾向にあることから、これと呼応してその展開が図られている。

中村八朗

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android