日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
コーンウォール(イギリス)
こーんうぉーる
Cornwall and Isle of Scilly
イギリス、イングランド南西端、コーンウォール半島の先端部を占めるカウンティ(県)。県域にはシリー島を含み、面積は3559平方キロメートル、人口50万1267(2001)。県都ボドミンBodmin。半島部の海岸線は出入りに富み、断崖(だんがい)と砂浜、岬と入り江が交錯する。冬はイギリス諸島でもっとも暖かく(ランズ・エンド岬の1月の月平均気温は6℃)、南海岸の年間日照時間は長い。恵まれた環境により、全国から観光、行楽の人々が訪れ、観光業を含むサービス業は県内随一の産業になっている。そのほか、採石業、漁業、農業、船舶修理業、機械工業が主要産業。古代には著名な錫(すず)の産地で、ギリシアやフェニキアの商人の間にも知れ渡っていた。かつてケルト語派ブリタニック諸語の一つであるコーンウォール語が話され、英語に駆逐されて18世紀末には消滅したが、地名などの一部に残存し、その保存・研究が行われている。
[久保田武]