ゴードン・ベル賞(読み)ごーどんべるしょう(英語表記)Gordon Bell Prize

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ゴードン・ベル賞
ごーどんべるしょう
Gordon Bell Prize

高性能計算技術(ハイパフォーマンス・コンピューティングhigh-performance computing、HPCと略す)における卓越した業績を顕彰するための国際的な賞。スーパーコンピュータのノーベル賞ともいわれる。科学や工学、ビッグデータ解析などにおける高性能計算の理論性能(ピーク性能peak performance)とスケーラビリティscalability(拡張可能性)に選考基準が置かれ、現代の科学や工学的な問題に対して高性能計算によって得られた特別な成果が評価対象となっている。アメリカの計算機学会(ACM:Association for Computing Machinery)が主催。ACMとアメリカ電気電子学会(IEEE)により組織された委員会が審査を行い、毎年11月に開かれるハイパフォーマンス・コンピューティングに関する国際会議(SC:Supercomputing Conference)の場で表彰が行われ、受賞者には賞金1万ドルが贈られる。
 賞の名称は、創設者でアメリカの計算機(プロセッサー)工学者のチェスター・ゴードン・ベルChester Gordon Bell(1934― )にちなむ。賞が設立された1987年当時は、並列計算の理論を立証して、新たに革新的な研究へ向かうべき時期にあり、将来的な並列計算機技術開発の推進と進歩を促す目的で創設された。
 第一回の受賞者は、アメリカのサンディア国立研究所に所属するロバート・ベンナーRobert Bennerほか3名。計算性能が当時の400~600倍の速度に達する、1024ノードで実行したN-CUBE並列計算機を使い、波動伝播(でんぱ)や流体構造などの研究を行った。本賞は日本の研究チームも数多く受賞しており、代表的なものでは、海洋研究開発機構(JAMSTEC(ジャムステック))の地球シミュレーターを利用して、地球規模での気候変動などに関して得た研究成果に対するもので、ほかにも、宇宙開発事業団(NASDA(ナスダ))や日本原子力研究所、NECをはじめとする研究チームが、2002年(平成14)から3年連続で受賞している。また、2012年には理化学研究所のスーパーコンピュータ・京(けい)を用いて、筑波(つくば)大学計算科学研究センターを中心とした研究チームが行った、約2兆個のダークマター粒子の宇宙初期における重力進化に関する計算の成果が受賞した。[編集部]

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