ザザムシ

改訂新版 世界大百科事典 「ザザムシ」の意味・わかりやすい解説

ザザムシ

長野県下で食用にされる水生昆虫幼虫類の総称で,カワムシともいう。みやげ物のつくだ煮として缶詰などにして市販される。世界でも珍しい食用昆虫で,特別の用具をもった採集人によって採集され,集荷される。おもに流水石下などにすむトビケラ類カワゲラ類カゲロウ類ヘビトンボ類の幼虫などで,トビケラ類の幼虫が大部分を占める。ときにはトンボ類の幼虫,ナベブタムシなどが含まれる。
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百科事典マイペディア 「ザザムシ」の意味・わかりやすい解説

ザザムシ

長野県伊那地方の方言河川にすむ昆虫の幼虫の総称。カワゲラ,カゲロウ,トビケラなどの幼虫をさし,時にはヘビトンボなどの幼虫も含めることもある。冬季にこれらを捕らえ,つくだ煮として賞味
→関連項目トビケラ

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世界大百科事典(旧版)内のザザムシの言及

【伊那[市]】より

…付近一帯は米作地で,その余り米を木曾に運ぶ時利用した権兵衛峠は眺望もよく,〈涙米とはこれ情けなや伊那や高遠の余り米〉と歌われた《伊那節》発祥の地として観光地となっている。天竜川の河床からとれるザザムシ(カワゲラなどの幼虫)や馬肉の刺身などは郷土色豊かな食物で,名物になっている。JR飯田線のほかは交通に恵まれなかったが,1976年中央自動車道が開通して以来,交通条件が大幅に改善された。…

【郷土料理】より

…かつて駿河地方から生のアワビを運ぶために考案された料理で,保存性が高く,薄切りにして,からしじょうゆで食べることが多い。 ハチの子,ザザムシなど信州ではイナゴはもとより,ハチの子,ザザムシ,カイコのさなぎなどの昆虫をつくだ煮や空揚げなどにする。ハチの子はスズメバチやジバチの幼虫,ザザムシは伊那地方の名物で,天竜川でとるトビケラ,ヘビトンボなど水生昆虫の幼虫である。…

【ハチの子(蜂の子)】より

…フライパンでからいりして塩をふったり,甘辛く煮つけて食べる。煮つけたものを炊きたての飯に混ぜるのが〈ハチの子飯〉で,伊那地方のザザムシ(トビケラなどの幼虫)などを含めた信州の昆虫食の中で最も美味とされる。ジバチ,ミツバチの子の缶詰があり,成分はタンパク質15.7g,脂質5.7g,糖質35.7g,鉄分6.7mg(いずれも100g中)などとなっている。…

【幼虫】より

…ドクガ科,イラガ科など),地中にすむコガネムシの幼虫を地虫(じむし),カブトムシの幼虫をまんじゅう虫,ハエやアブの幼虫をうじ虫などと呼び,クリのうじ(クリミガ,クリシギゾウの幼虫),モモのうじ(シンクイガの幼虫)などもある。 食用,薬用に用いられる幼虫も多く,カミキリムシ科の幼虫をテッポウムシあるいはトツコムシ(信州)と称し,また水生昆虫をザザムシ(伊那)とかチラムシとか称し食用にするほか,ミツバチの幼虫やジバチ(クロスズメバチ)の幼虫も食べる。奥州斎川(宮城県白石市斉川)産のマゴタロウムシ(脈翅目,ヘビトンボ科の幼虫)は子どもの疳(かん)の薬として用いられるが,薬効は定かではない。…

※「ザザムシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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