改訂新版 世界大百科事典 「シエラモレナ山脈」の意味・わかりやすい解説
シエラ・モレナ[山脈]
Sierra Morena
スペイン南部,アンダルシア地方に東西約450km,南北120kmにわたって連なる山地。西はポルトガルのグアディアナ低地,北はスペインのメセタ南東部のラ・マンチャ地方,南はアンダルシアのグアダルキビル低地に囲まれる。地質は古生層や先カンブリア時代の結晶片岩や花コウ岩よりなる。グアダルキビル低地の方から見ると,標高500~1000mのゆるやかな高原状の壁のように見えるが,開析が進み,谷は深い。山地の東部ほど高峻になる。最高峰はシエラ・マドローナSierra Madrona(1323m)。山村の経済的基盤は,おもにオリーブ栽培と牧畜からなっている。コルドバ周辺を除いてかつてのようなブドウ栽培はほとんど見られず,代わって1960年代以降オリーブの新開地としてその栽培面積が拡大した。銅,鉄,亜鉛などの鉱物を産し,19世紀末にはセビリャのエル・ペドロソEl Pedrosoにはスペイン最初の近代的高炉が建設され製鉄業が盛んであった。近年は,アンダルシアの開発が停滞しているばかりでなく,農業にとっても限界地として位置づけられ,多くの村では人口の流出に悩んでいる。
執筆者:栗原 尚子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報