グアダルキビル川(読み)グアダルキビルガワ(その他表記)Guadalquivir

デジタル大辞泉 「グアダルキビル川」の意味・読み・例文・類語

グアダルキビル‐がわ〔‐がは〕【グアダルキビル川】

Guadalquivirスペインのアンダルシア地方で最大の川。長さ656キロ。アラビア語で、大きい川の意。

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改訂新版 世界大百科事典 「グアダルキビル川」の意味・わかりやすい解説

グアダルキビル[川]
Guadalquivir

イベリア半島南部,メセタとベティカ山脈の間の構造谷を北東から南西にアンダルシア地方を流下する川。川名はアラビア語起源で大河の意。全長657km,流域面積5万7000km2ポソ・イ・カソルラ山地ハエン県)に源を発し,カディス県のサンルカル・デ・バラメダで大西洋に入る。グアディアナ・メノル,グアダホス,ヘニル,グアダイラなどシエラ・ネバダ山脈に源を発する川やグアダリマル川などの支流をもち,セビリャ近くまでほぼ東西に流れる中流域では,しばしば細かく曲流して第三紀の沖積層を深くうがっており,下流域のデルタ,沼沢地ラス・マリスマスと対照的な景観を示している。乾燥地帯にあって重要な農業用水を供給し,果樹,工芸作物などを栽培する灌漑地域が形成されている。灌漑の歴史は古く,イスラム支配時代の灌漑技術の導入が歴史的に有名。現在では1万haを灌漑するハエン計画のような農業開発が行われている。流域にはコルドバ,セビリャの都市があり,運河によってセビリャまで3万トンの船が航行できる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グアダルキビル川」の意味・わかりやすい解説

グアダルキビル川
ぐあだるきびるがわ
Guadalquivir

スペイン南部、アンダルシア地方最大の河川ベティカ山系西部のポゾ山およびカゾルラ山に源を発し、シエラ・モレナ山脈との間の構造谷を西流してコルドバに至り、南西流してセビーリャを経て、サンルカル・ドゥ・バラメダで大西洋に注ぐ。全長657キロメートル、流域面積5万7000平方キロメートル。中・下流には広大なアンダルシア低地が開け、整った灌漑(かんがい)施設を有する肥沃(ひよく)な農耕地を形成する。上流水力発電に利用される。河口から数十キロメートル上流まで外航船遡行(そこう)する。

[田辺 裕・滝沢由美子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グアダルキビル川」の意味・わかりやすい解説

グアダルキビル川
グアダルキビルがわ
Río Guadalquivir

古代名バエティス Baetis。スペイン南部の川。全長 657km。現在名はアラビア語のワディアルカビル (「大河」の意) に由来。ハエン県の山地に発し,アンダルシア州を西流し,北のモレナ山脈と南のベティカ山系から流下する 800以上の支流を合せ大西洋に注ぐ。スペインで唯一の大きな海岸平野をもつ川で,コルドバ (標高約 100m) で平野部に入り,コリアの下流ではスペイン最大の沼沢地ラスマリスマスをつくる。本流,支流合せて十数ヵ所にダムがあり,80以上の水力発電所が設けられている。

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世界大百科事典(旧版)内のグアダルキビル川の言及

【国土回復戦争】より

… コバドンガの戦からも推測されるように,イスラム教徒のイベリア征服は完全ではなく,その後もこの欠陥を補う努力は一度もなされなかった。アル・アンダルス――イスラム教徒は半島の征服部分をこの名で呼んだ――の首都はコルドバに置かれ,東部のエブロ川流域と南部のグアダルキビル川流域にはやがてイスラム社会が定着したのに対して,北部と西部は初めから彼らの関心外に放置された。加えてアル・アンダルス内部は紛争が尽きず,後ウマイヤ朝の成立(756)も事態収拾への転機とはならなかった。…

※「グアダルキビル川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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