改訂新版 世界大百科事典 の解説
シクロトリメチレントリニトラミン
cyclotrimethylenetrinitramine
RDX,ヘキソーゲン,シクロナイトなどとも呼ばれ,第2次大戦中に大量に用いられるようになった高性能爆薬。単独では雷管の添装薬に使われている。最も多い用途は,TNTとの2成分爆薬であるシクロトールやコンポジションBとして炸薬とされるものである。またコンポジションAやコンポジションCなどプラスチック結合爆薬やプラスチック爆薬の主成分としても用いられている。
無色の結晶で,融点204℃,結晶比重1.80,水に不溶,アルコール,ベンゼンなどには難溶,アセトンにはわずかに溶け,温フェノールおよび濃硝酸には易溶である。濃硫酸には徐々に溶けて,放置すると分解する。苛性ソーダ溶液で分解する。DTA分解開始温度は約220℃,爆速は比重1.767で8640m/sである。熱感度および打撃感度はテトリルと同等で,摩擦感度および爆ごう衝撃感度はテトリルより敏感でペントリットより鈍感である。製造法としては硝酸法と無水酢酸法が知られている。前者はヘキサメチレンテトラミン(ウロトロピン)と硝酸とだけ反応させてRDXを得る方法であり,後者はヘキサメチレンテトラミン,硝酸,硝酸アンモニウムおよび無水酢酸を使用する方法で,ヘキサメチレンテトラミン当りのRDX収率が高い。
執筆者:吉田 忠雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報