2,4,6-トリニトロフェニルメチルニトロアミンの慣用名。ほかに2,4,6-トリニトロ-N-メチルアニリン,ピクリルメチルアミン,テトリライト,テトライト,テトラリタなどの呼名もある。爆ごう(轟)衝撃に対する起爆性がよいので,雷管の添装薬や他の爆薬を確実に起爆するための伝爆薬として用いられる。製造直後は無色の結晶であるが,光に当たると黄色となる。融点129.4℃,比重1.71での爆速は7850m/sで,TNT(トリニトロトルエン)より強力である。またTNTに比べ,摩擦・衝撃に対して敏感であるが,熱安定性は劣る。ジメチルアニリンを濃硫酸でスルホン化し,次いで濃硝酸を加えてニトロ化して得られる。外国では2成分炸薬として用いられるためCE(composition explodingの略)とも呼ばれる。
執筆者:吉田 忠雄
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N-methyl-N,2,4,6-tetranitroaniline.C7H5N5O8(287.15).ニトラミンともいう.モノあるいはジメチルアニリンを濃硫酸に溶かし,ついで硝酸でニトロ化分解してつくられる.淡黄色の柱状晶.融点129.5 ℃.1.57.180~190 ℃ で爆発する.λmax 225,300 nm(log ε 4.5,3.4).水,エーテル,クロロホルムに難溶,アセトン,ベンゼン,氷酢酸に可溶.強力な爆薬で感度も高い.伝爆薬または雷管の添装薬として用いられる.皮膚や粘膜を刺激する.[CAS 479-45-8]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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…ピクリン酸,トリニトロトルエン(TNT),ヘキサニトロスチルベン(HNS),ジアミノトリニトロベンゼン(DATB),トリアミノトリニトロベンゼン(TATB)などは芳香族ニトロ化合物として分類される爆薬で,おもな用途は軍用である。ニトロアミノ結合N-NO2をもつニトラミン系爆薬としてはシクロトリメチレントリニトラミン(RDX),シクロテトラメチレンテトラニトラミン(HMX),ニトログアニジン,テトリルなどがある。いずれも軍用に用いられたが,現在ではRDXおよびHMXは砲弾の中につめる炸薬として,ニトログアニジンは発射薬の成分として,テトリルは雷管の添装薬として用いられている。…
※「テトリル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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