シャルリエブド事件(読み)シャルリエブドじけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャルリエブド事件」の意味・わかりやすい解説

シャルリエブド事件
シャルリエブドじけん

2015年1月にフランスで発生した一連テロリズム事件。風刺週刊紙『シャルリエブド』のパリ事務所で編集者や警官ら 11人が射殺された事件をはじめ,計 17人が犠牲となり,イスラム過激派の脅威焦点があてられた。1月7日,アルジェリア系フランス人の兄弟が銃を手に『シャルリエブド』の事務所に押し入り管理人 1人を射殺。その後編集室に入り,警備にあたっていた警官 1人と風刺まんが家や編集者ら 9人を殺害して逃亡した。逃亡途中にパトロール中の警官 1人を殺害。1月9日,パリ北東約 35kmにあるダマルタンアンゴエル付近で警察と銃撃戦を展開し,工業地域に逃げ込んだのち人質をとって印刷会社にたてこもった。襲撃犯の兄弟は,自分たちはアラビア半島アルカイダ AQAPの一員であると名のり,殉教者として死ぬ準備ができていると警察に伝え,建物から出てきたところを射殺された。この襲撃事件と並行して,1月8日にパリ南郊で女性警官が殺害され,翌 9日にはパリ東部ポルトドバンセンヌのユダヤ系スーパーマーケットで男が人質をとってたてこもる事件が発生した。特殊部隊犯人を射殺し 15人の人質は解放されたが,4人が犠牲になった。たてこもり犯は前日女性警官を殺害した人物であった。当初,これらの事件の間に関連性はないとされたが,のちに容疑者同士が連絡をとり合っていたことが判明し,組織的な犯行であることが明らかになった。犯人らは前科で服役中にイスラム原理主義者(→イスラム原理主義)と接触し,少なくとも襲撃犯の 1人は 2011年7月に AQAPの本拠地イエメンで軍事訓練を受けていた。『シャルリエブド』は以前からイスラム教の預言者ムハンマドの風刺まんがなどを掲載してイスラム教徒からたびたび反発を受け,2011年11月には事務所に火炎瓶が投げ込まれる事件が発生していた。

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