シロアリ類(読み)シロアリるい(英語表記)Isoptera; termite; white ant

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シロアリ類」の意味・わかりやすい解説

シロアリ類
シロアリるい
Isoptera; termite; white ant

シロアリ目に属する昆虫総称。等翅類ともいう。社会性昆虫で,生殖階級 (女王,王) と多数の不妊性の職蟻,兵蟻が大きなコロニーをつくって生活する。職蟻,兵蟻は無翅で一見アリに似ているが,胸部腹部の間がくびれないこと,触角は等長のじゅず状環節から成り,膝状に折れ曲らないこと,不完全変態をすること,および雌雄両性を含む点で異なる。生殖階級もアリと異なって雌雄があり,両者は常に一緒にすむ。口器は咀嚼型。肢の 跗節はたいてい4節。腹端には短い尾角がある。生殖階級にのみ生じるは薄い膜質で前後翅とも同形同大で細長く,脈は多いが一定の横脈を欠き,前縁部のものは角化が強い。飛翔時以外は背面に重ねて水平にたたむ。コロニーでは定期的に有翅虫が産み出される。この有翅虫は巣を離れて結婚飛行をし,その後着陸して翅を落し,雌雄で対になって巣をつくり,新しいコロニーの女王と王になる。1つのコロニーには数十万から数百万匹の職蟻,兵蟻がすむ。職蟻は巣をつくり,幼虫の保育をするが,頭部の大きな兵蟻は外敵から巣を守る。女王または王が死んだ場合は,副女王または副王と呼ばれる個体が育ち,それに代る。木材害虫として有名なものが多いが,巣外から植物質を運び込むもの,菌類を培養するものなどもある。なおシロアリ類の食べた植物質のセルロースは,その後,腸内共生している多数の原生動物の助けによって消化される。世界に 2000種以上を産し,熱帯にその大部分が分布する。日本にはヤマトシロアリ Reticulitermes speratus,イエシロアリ Coptotermes formosanusなどがみられ,家屋電柱,立ち木などに大害を与えている。 (→昆虫類 )  

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android