ジビニルベンゼン

化学辞典 第2版 「ジビニルベンゼン」の解説

ジビニルベンゼン
ジビニルベンゼン
divinylbenzene

C10H10(130.19).略称DVB.o-,m-,p-ジビニルベンゼンの3種類の異性体がある.水に不溶,有機溶媒に可溶.o-ジビニルベンゼンは沸点52 ℃(400 Pa).m-ジビニルベンゼンは融点-67 ℃,沸点199.5 ℃.p-ジビニルベンゼンは融点30~31 ℃,沸点210.5 ℃.おもな用途は,高分子の架橋剤(橋かけ剤)であり,一般には異性体混合物が用いられる.スチレンのような単量体とまぜてラジカル共重合させると三次元網目構造となる.スチレン-ジビニルベンゼン共重合体にイオン交換基を導入することにより,イオン交換樹脂がつくられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジビニルベンゼン」の意味・わかりやすい解説

ジビニルベンゼン
じびにるべんぜん
divinylbenzene

芳香族炭化水素に属し、o(オルト)-、m(メタ)-、p(パラ)-ジビニルベンゼンの3種の異性体がある。

 化学式C6H4(CH=CH2)2、分子量は130.19。実験室では相当するフタルアルデヒドからグリニャール反応脱水反応を応用して合成する。工業的にはジエチルベンゼンの脱水素反応により製造する。生成物はラジカル重合、または陽イオン重合をおこしやすいので、カテコールなどの重合禁止剤を添加して貯蔵、運搬しなければならない。ジビニルベンゼンの単独重合体はもろく、不溶、不融で利用価値は少ないが、高分子の添加架橋剤として重要である。ポリスチレンポリエチレンの変性、スチレン・ブタジエンゴムの添加剤として用いられる。スチレンとの共重合体はイオン交換樹脂の素材となる。

[向井利夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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