スティムソン主義(読み)すてぃむそんしゅぎ(その他表記)Stimson Doctrine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スティムソン主義」の意味・わかりやすい解説

スティムソン主義
すてぃむそんしゅぎ
Stimson Doctrine

満州事変勃発(ぼっぱつ)直後の1932年1月7日、アメリカ国務長官スティムソンが日中両国に送った覚書のなかで明らかにした、日本の満州侵略による現状変更を認めないとの態度(不承認政策)。この覚書のなかでスティムソンは、アメリカまたはその市民の権利ならびに中国の主権、独立、領土保全を損なういかなる条約協定にも同意しないこと、そして1928年の不戦条約に違反するいかなる協定も承認しない旨を勧告した。この覚書は、アメリカの伝統的な門戸開放政策を継承したもので、不戦条約を基にした道徳的制裁によって侵略の阻止を企図しようとした点に特徴があった。しかし経済的制裁措置を欠いたため日本軍の侵略を阻止できず、32年1月末には上海(シャンハイ)事変が勃発、3月に「満州国」建国宣言が行われ、日米関係は悪化していくことになった。

藤本 博]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

旺文社世界史事典 三訂版 「スティムソン主義」の解説

スティムソン主義
スティムソンしゅぎ
Stimson Doctrine

1932年1月,日本の満州侵略に反対してアメリカ国務長官スティムソンが発表した声明
不戦条約の約束義務に違反する方法によるいっさいの事態・条約・協定を承認しないと宣言したが,日本の満州国擁立を阻止できなかった。中南米諸国にもこれを適用したが,こちらも不徹底であった。

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