ストーマ外来(読み)すとーまがいらい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストーマ外来」の意味・わかりやすい解説

ストーマ外来
すとーまがいらい

人工肛門人工膀胱(ぼうこう)のケアを専門に行う看護師など専門家が配置された病院の外来施設。ストーマstomaとは「口」を意味するギリシア語で、腸管または尿管の内容物を排泄(はいせつ)するためにあけられた人工的な孔(あな)のことである。大腸癌(がん)などの手術後、結腸や回腸などに隣接する皮膚にあけられた孔を消化管ストーマ(人工肛門)とよび、膀胱癌などで尿路変更術後にあけられたものをウロストーマ(人工膀胱)とよぶ。一般に「ストーマ」というと人工肛門をさすことが多い。人工肛門や人工膀胱の造設患者(オストメイト)およびその家族に対して、ストーマの管理について指導し、実際の取り扱い方や生活について援助するストーマケアについては、古くからさまざまな方法が検討され、専門的に扱うストーマ外来として設置されている施設が多い。ストーマケアの一つは、便や尿など排泄物と皮膚の接触刺激によって起こるただれやかゆみなどの皮膚炎(ストーマ周囲皮膚炎)や、排泄された尿を蓄える装具がもたらすかぶれなどの予防と管理、排泄物の漏れや臭気の管理などに対するケアである。もう一つはストーマ・リハビリテーションとよばれる考え方に基づくもので、術前のストーマ造設の告知受容、また造設部位の選定、装具(ストーマバッグ)の選択などの相談に応じることのほか、退院後の合併症予防、排泄全般にかかわるセルフケアへの援助、ストーマによって生じる社会的不利を克服するための援助および生活指導などが含まれる。これらのケアに関する専門的知識と技能をもつストーマ療法士(ET:enterostomal therapist)という認定制度も確立しており、日本看護協会が認定する「皮膚・排泄ケア認定看護師」も同様の役割を担う。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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